家庭犬のしつけインストラクター井原亮のひとりごと

家庭犬のしつけインストラクター井原亮のひとりごと

このブログは『家庭犬専門の施設SkyWan! Dog Schoolの公式ブログ』として使用しておりましたが、2024年の飛行機事故をきっかけに、感じたこと、さまざまな報告などのブログとして復活致します。

子犬を飼ったら問題行動の予防

困った行動は、困ってから直すには大きな時間と労力が必要です。
小さい時から「我が家ではこうやって振る舞うと褒めてもらえるよ」と伝えながら、甘噛み、飛びつき、吠え、トイレ失敗を予防していきましょう。

直すより、最初から予防する方がずっと楽です

困った行動は、困ってから直すには大きな時間と労力が必要です。
そして犬も、今まで正解だと思っていた行動を、新しい行動に置き換えなければなりません。

飼い主は「直す」という概念ではなく、新しい行動を覚えてもらうこと、その行動をメインの行動に置き換えてもらうことを意識していく必要があります。

小さい時から、「我が家ではこうやって振る舞うと褒めてもらえるよ」という形で伝えながら成長してもらいます。

外に出たら、周りの環境よりも飼い主の方に注目してね、たくさん褒めるよ、と育てていくことが、周りに迷惑をかけない家庭犬づくりにつながります。

甘噛みの予防は、手の意味を育てることから始まります

手は、おやつやフードをくれる「手」として育てていきます。
いつも食べ物をもらえるものとして認識してもらうことで、手を噛む存在としては認識しにくくなります。

また、おやつを齧らせながら身体を撫でたり、ブラッシングをしたり、足ふき・爪を触る、耳掃除に慣らすために耳を触るなど、慣らしておいた方が良いことをおやつと同時に行うことで、少しずつ受け入れてくれます。

おやつを食べている間は口を使っているため、他のものを噛むこともできません。

興奮することも多いのが子犬です。
興奮すること自体は問題ありません。

ただ、興奮するとまるで小さい獣のように騒ぎ、噛み、吠えます。
でも子犬はそんなものです。暖かく見守ってください。

あまりに興奮して問題が起きそうであれば、ハウスリードといって室内でもリードをつけておくと良いでしょう。

落ち着くまでリードを少し短く持ち、行動範囲を狭くして動かず待ってあげてください。
落ち着いたらトイレをさせたり、お水を飲ませたりしてハウスに戻してあげると、よく寝ると思います。

甘噛みの予防と興奮した時の整え方
手は「噛む相手」ではなく「良いことが起きる手」として育て、興奮した時には行動範囲を狭くして落ち着く時間を作ります。

飛びつきの予防は、飛びついても得しない流れを作ることです

とにかく飛びついている時は、声をかけない、触らない、目を見ない、そして当然ながらご褒美をあげないことです。

ここで反応してしまうと、「飛びつくと良いことがある」と学習してしまいます。

部屋の中を自由にさせすぎていると、自由に飛びつけてしまいますので、行動範囲を見直す必要もあります。

家族の帰宅時などは喜びで飛びつきやすくなりますので、ケージやクレートに待機してもらい、落ち着いてから出すようにしましょう。

飛びつきを予防するポイント
飛びついている最中は無視し、家の中の自由度を見直して、落ち着いた行動を褒めていきます。

吠えの予防は、吠えるタイミングと報酬を与えないことです

吠えるタイミングを与えないこと、そして吠えても聞こえないふりをすることが基本です。

吠えた後に報酬になりそうなことは絶対に避けます。

遊んでいて興奮し、吠えてしまったら、その遊びはそこで終了です。
「吠えたらそこで終わりですよ」と、静かに振る舞いましょう。

徐々にチャイムに吠えるようになってしまう子が多いので、あらかじめチャイム音を録音し、その音を鳴らしておやつがもらえる音と認識させる練習をしておいてください。

近い将来、チャイムが鳴るとおやつがもらえる音として認識し、飼い主の方に走ってくるようになります。

吠える行動を予防するポイント
吠える前に環境を整え、吠えても報酬にならない流れを作ることが、落ち着いた子に育てる近道です。

トイレ失敗の予防は、失敗できない環境を作ることです

トイレは囲って分かりやすく設置し、クレートやサークルを組み合わせて、排泄場所を明確にしてあげます。

自由にしすぎると失敗の機会が増えてしまいますので、最初は「失敗させない」ことを優先して考えてください。

排泄しやすい時間を把握して、そのタイミングで外やトイレへ連れて行きます。

排泄したら、他のことに気を取らせず静かに見守り、成功した時にしっかり褒めます。

トイレは成功回数に比例して覚えていくので、いかに多く成功させるかが予防のポイントです。

トイレで排泄しないうちは、飼い主が排泄させる場所を決めるくらいの意識で進めることが大切です。

子犬のトイレの失敗を予防するポイント
トイレは成功体験の積み重ねで覚えていきます。まずは失敗できない環境を作り、成功回数を増やしましょう。

目先のゴールだけを目指さず、成犬になった時の暮らしを見据えます

子犬との生活はとても楽しく、そして大変です。
たくさん手をかけてあげると、必ず楽しい毎日が待っていると思います。

目先のゴールだけではなく、成犬になった時にリラックスして過ごせることが多い生活になるよう、少し先の将来のゴールを目指して育ててあげてください。







夜中に今読んでいる飼い主さまへ

夜中に急に起きて吠える犬へ

今まさに夜中に犬が急に起きて吠えて困って、このコラムを読んでいる方へ。

夜中の吠えは、音、排泄、空腹、生活サイクルのずれ、そして飼い主さまの反応の積み重ねなど、いくつかの理由が重なって起きていることがあります。

まずは、原因を1つに決めつけないことが大切です。夜中に起きて吠える時は、環境の音とライフサイクルの両方を見てください。

吠えて呼ばなくても、飼い主が来てくれる。
そう思える流れを作っていくことが大切です。


このコラムを短く見ると

どんな悩み夜中に急に起きて吠える
まず見ることマンションや戸建ての音、排泄や空腹などのライフサイクル
やってしまいがち吠えた瞬間に起きて相手をする
大切なこと吠える前に飼い主の方から対応する
子犬の場合朝まで寝られるようになるまでは夜中の対応が必要なこともある
成犬の場合飼い主の反応を学習していることが多い

夜中に急に起きて吠える時、理由は1つではありません

夜中に急に起きて吠える時、順番をつけて1つずつ疑う、というより、いくつかの可能性を同時に見ていくことが大切です。

マンション住まいの方なら、エレベーターの音やドアの前を歩く人の音、上下階の方の話し声が換気扇から聞こえてくることもあります。

戸建ての方なら、バイクや車の音、隣の家の出入りのドアの音など、どんなことも理由になり得ます。

排泄や空腹など、ライフサイクルのずれも大きな理由になります

排泄のタイミングなどが原因ということも多くあります。

生き物はみな、「寝る → 排泄する → 食事をする → 活動する → また寝る」というライフサイクルで過ごしています。

このサイクルが人間との生活に当てはまらない場合、夜中に排泄の時間になったり、お腹が減ったり、脳が活発に動いてしまったりして、人が寝ている間に元気に吠えてしまうことが起きます。

吠えると飼い主が来てくれる、という学習も入ります

夜中に吠えると、さすがに「近所迷惑だ」と思って声をかけて止めようとすることがあります。

すると犬は、「吠えると飼い主が起きて来て相手をしてくれる」と学習するようになります。

これが続くと、夜中に何かあった時だけでなく、「夜中に目が覚めたから呼ぶ」「眠くないから呼ぶ」という発信にもつながっていきます。

すでに吠えている時は、静まるまで相手をしない

夜中に吠えた時、すでに吠えてしまっているなら、静まるまでは相手をしないことが基本になります。

ただし、これはかなり大変です。

「お腹が減ったのかな」「排泄したいのかな」といった母性的な感情が出てきて、どうしても反応したくなります。

ですから、夜中の吠えを減らすには、その場しのぎより前の流れが大切になります。

大切なのは、吠える前に飼い主の方から相手をすることです

あらかじめ吠える前に、飼い主の方が相手をしに行くことが大切です。

吠える前に相手をすることで、「いちいち自分から『相手して』と吠えて発信しなくても、飼い主が起こしてくれるまでのんびりしていればよい」という流れを作りやすくなります。

つまり、吠えて呼ばせるのではなく、生活のサイクルに合わせて先回りして静かに対応していくことです。

寝る前に特別なことを無理にする必要はありません

寝る前にしておくことは、特別なことでなくて構いません。

排泄や食事、一緒に遊ぶことなど、普通の流れができていれば十分です。わざわざ疲れさせておく必要もありません。

もし夜のサイクルを少しずつ変えたいなら、少し長めに遊ぶなどしながら、寝る時間を遅めにずらしていくと、その分起きる時間も自ずと伸びていくことがあります。

子犬と成犬では、見方が違います

子犬の場合

子犬の場合は、ライフサイクルの時間が短いため、朝まで寝ていられるようになるまでは、夜中も飼い主が起きて相手をしてあげる必要があります。

大変ですが、子犬を飼うということはそういうことです。

成犬の場合

一方で成犬の場合は、高確率で飼い主の反応や遊びのお誘いのためなどの学習をしているケースが多いと思います。

夜だけでなく、昼間も同じような発信で相手をしてもらっていることが少なくありません。

夜中の吠えで大切にしたいこと

  • 原因を1つに決めつけず、音とライフサイクルの両方を見ること
  • すでに吠えている時は、静まるまで相手をしないこと
  • 吠える前に飼い主の方から先回りして対応すること
  • 昼間も含めて、吠えても相手をしない習慣を作ること
  • 子犬は夜中の対応が必要な時期があると理解すること
  • 成犬は飼い主の反応を学習していることが多いと見ること

どうしても今すぐ止めたい時も、結局は日頃の習慣づくりです

どうしてもすぐに止めたい時は、びっくりしてもらうことで一時的に吠えを止めることはできますが、夜中なので大きな音などは使いにくいと思います。

ですから、普段の過ごし方として、

  • 飼い主がいてもお昼寝などはケージやクレートで寝てもらう習慣を作っておくこと
  • 日常生活全般で、吠えても相手をしないこと
  • つまり、吠えに報酬を出さないこと

が非常に大事です。

多くの場合、「夜だけ困っている」と言っても、実は昼間も同じようなことで困っていることが多いと思います。

日頃からの習慣づくりを心がけてください。

犬の逃走事故で命を落としたケース

実際にあった逃走事故の例から、事故が起きるのはどんな一瞬なのか、何を疑い、どう管理しておくべきかを整理します。

社会の中で犬と暮らす以上、逃走事故は「まさか」で済ませてはいけない出来事です。

このコラムには、実際に犬が亡くなった逃走事故の話が含まれます。
重い内容ですが、同じことを繰り返さないために書いています。

犬を信じないこと、疑うことが、命を守ることになる。


この出来事を短く見ると

どんな事故 ドアを開けた瞬間、リードを受け渡した瞬間に起きた逃走事故
結果 犬が道路へ飛び出し、車やトラックにはねられて亡くなった
共通点 ほんの一瞬だけ犬を信じたこと
危ない場面 ドアを開ける時、リードを持ち替える時
日常で育てたいこと 飼い主の近くにいると良いことがある体験
備え クレート、ペットゲート、ダブルリード、二重扉

実際にあった、犬が亡くなった逃走事故の話です

犬の逃走事故は、遠い話ではありません。実際にあった例で、犬が亡くなったケースがあります。

1つ目は、買い物から帰った直後の玄関でした

犬は留守番していて、飼い主さまが買い物から帰った直後のことです。ドアの閉まるタイミングよりほんの一瞬だけ早く、外へ飛び出してしまいました。

そのまま大きな交差点まで走り、トラックにはねられて亡くなりました。

2つ目は、子どもにリードを渡した帰り道でした

「お子さまにリードを任せないでください」とお伝えする講習の帰り道のことです。その帰りにお子さまへリードを渡してしまい、引っ張られた拍子に手から離れてしまいました。

犬はそのまま国道へ出て、車にはねられて亡くなりました。

共通していたのは、犬を信じたことです

この2つの事故に共通していたのは、犬を信じたことです。

それは冷たくするべきだ、という意味ではありません。犬はその場にある刺激で行動が左右される生き物です。だからこそ、人が管理しなければならないのです。

逃走事故は「切り替わりの一瞬」で起きます

特に危ないのは、ドアを開けた瞬間と、リードを受け渡した瞬間です。どちらも、人の手や意識が切り替わる一瞬です。

その一瞬だけ管理が薄くなり、犬は目の前の刺激に反応して動きます。逃げようと決めていたわけではなくても、その場の流れで走り出してしまいます。

日常では「飼い主の近くが一番いい」を育てます

逃走事故を防ぐために日常でやるべきことは、飼い主の近くにいることでいい思いがたくさんできる、という体験をさせ続けることです。

例えば、定期的にスワレをして褒めてもらえる、フセをして褒めてもらえる、歩く練習をしている、などです。ほとんどの基礎練習は、飼い主の足元でご褒美がもらえ、褒めてもらえます。

こうした積み重ねで、基本は飼い主の近くが一番楽しくて、褒めてもらえて、幸せだということを育てていきます。

逃げること自体が楽しい体験にならないようにします

例えばドッグランなどで、リードが離れた瞬間に走り出す癖がつくと、逃げること自体が楽しい体験になってしまうことがあります。

一度それが強い報酬になると、外へ飛び出す行動はより起こりやすくなります。だからこそ、「離れたら自由で楽しい」より、「近くにいれば良いことがある」を育てておく必要があります。

具体的な備えは、仕組みで逃げられないようにすることです

車ではクレートに入れる。玄関では手前にペットゲートを設置して、二重扉になるようにする。お子さまに持たせる場合は、リードをもう一本足してダブルリードにする。

こうした備えは、「うちの子は大丈夫」かどうかではなく、「大丈夫じゃない動きをした時に止められるか」で考えてください。

この出来事から伝えたいこと

  • 逃走事故は、本当に一瞬で起きること
  • 犬が悪いのではなく、人の管理が薄くなった瞬間に起きやすいこと
  • ドアを開ける時とリードを持ち替える時は特に危ないこと
  • 飼い主の近くにいることが一番いい体験だと教えていくこと
  • クレート、ペットゲート、ダブルリードのように、仕組みで防ぐこと
  • 犬を信じないこと、疑うことが、命を守ることになること

逃走事故は、犬が悪いから起きるのではありません。

「この子なら大丈夫」と思った一瞬に、管理が薄くなることで起きます。

だからこそ、犬を信じるだけではなく、疑って備えることが必要です。

それは犬を疑う冷たさではなく、命を守るための責任です。