※次回予告:まったく中身のない内容になりそうな後書き。

とりあえず、本編は最終回。後書きは、個人的な楽しみ。 


 エリックの結婚式の日は、エリック初めてあった日ととてもよく似ていた。
 空が晴れ渡り、海もとても穏やか。
 楽しげな音楽を流し、海に明りをともしながら船は進む。
 船の中央では、エリックとその婚約者が踊り、他の人も皆思い思いに踊る。
 何もかもがあの日と同じ。
 私は、それを見ながらただ、消えゆくことを思っていた。
「なぁに、ボサッと見てんだ!?」
 いきなり背中を強く叩かれる。
 振り返らなくても、わかる。カイトさんだ。
「嬢ちゃんも踊れよ! 今日はめでてぇ日なんだからよ!」
 カイトさんは、私を押して、強引に私を踊りの輪の中に加える。
 慌てて降り返ると、カイトさんがウィンクして、右手の親指を立てている。
 私は、踊った事などなくて、どうしたらいいかわからない。
 とりあえず、音楽にあわせて足と手を動かす。
 エリックの結婚を祝い、そして、最後の時をかみ締めるように。

 夜になって、皆が眠りにつく。
 私は、城の部屋で一人起きていた。
 エリックが寝たであろう時間を見計らって、エリックの部屋へと向かう。
 最後にエリックの姿を見たい。そう思ったから。
 そっと、エリックの部屋に入る。
 部屋のベッドで、エリックは静かに寝息を立てている。
 私は、その隣に座りエリックの寝顔を見る。
 その寝顔は、とても幸せそう。
 私は、朝日が昇るまでそうしてエリックの寝顔を見続ける。
 そうしながら、思う。
 
 アリスタお姉ちゃんには、謝りたい。
 勝手に人間になって、勝手に泡になったこと。
 私の為に、大切な髪を切ってあの短剣をくれたのに、私は結局泡になる事を選んでしまったこと。
 本当にごめんなさい。

 ローレライさんには、お礼を言いたい。
 私を人間にしてくれてありがとう。
 多分、エリックにあった日に戻れたとしても、私はこうすることを選んでるから。
 例え、泡になってしまうとしても、また私は人間になることを選ぶから。

 城の人達にも、お礼を言いたい。
 今までありがとう。
 いろいろなことを教えてくれて。
 街に一緒に行ってくれて。
 毎日が、とても楽しかった。
 
 そして、エリック。
 今まで、本当にありがとう。
 貴方に出会ったことを忘れない。
 そして、貴方と過ごした日々も忘れない。
 貴方と過ごした日々は、とても素晴らしいものだったから。
 私は、泡になってしまうけど、海からちゃんと見守るから。
 だから、どうか私がいたことを忘れないで。
 時々でいいから、思い出して。
 そして、幸せになって、笑っていて。
 愛しています。
 さようなら。
 
 私は立ち上がり、テラスへと向かう。
 泡になって、海に溶けて、エリックを見守る為に。
 日が昇り始める。
 私の意識は少しずつ遠退いていく。
 私は、海へと身を投げ出した。

 お願いです。
 どうか笑っていて。
 お願いです。
 どうか幸せになって。
 お願いです。
 どうか私を忘れないで。