※金曜日じゃないけど、更新。もう大分後半です。

どうでもいいけど、ニコニコ動画の制限が悲しいです。(いや、それ関係ないし)



「紹介しよう。お前の婚約者だ」
 父上のその声に促されるように現れたのは、亜麻色の髪と瞳を持つ女性だった。
 俺は、その人に見覚えがあった。
 忘れるわけがない。
「お久しぶりです。エリック王子」
 そう言って、俺の命の恩人で婚約者、ダイアンサス=ローザンセは微笑んだ。

 夏の日差しが、大地を熱する。
 それを冷ますかのように、塩の香りと共に涼しい風が吹く。
 海沿いの廊下を歩きながら、ダイアに初めて会った時の事を思い出していた。
 そして、その時の言葉を思い出した。
 彼女と俺は同じだと、彼女はそう言った。
 今なら、その意味が解る気がした。
 俺たちは、立場がとてもよく似ている。
 王子である俺や、皇女である彼女に、意思は必要とされない。
 この国が、この国の民が必要としているのは、俺ではなく立派な王子なのだから。
「そういえば、どうして私を助けてくれた時、この国に居たのですか?」
 俺は、後ろを歩くダイアに話しかけた。
 ダイアは、それにあっさりと答える。
「これから住む国を見ておく為です。街を周ろうとしたら、貴方が倒れていらしたので、とても驚きました」
 ああ、なるほど。そういうことか。
 これから住む、つまり、彼女も婚約の事は知っていたわけか。
 やはり、俺だけが蚊帳の外だったわけか。
「エリックさん、外へ出ませんか? 私、街をじっくり観てみたいですし」
「いいですね」
 俺はダイアのその提案に賛同した後、付け加える。
「でもその前に、一つ寄りたいところがあるんです。外で待っていてもらえますか?」