・・・・・・。
彼(医者)は何を言っているんだ。
聞き間違いじゃなければなんか「レーザー」とか言ってなかったか?
レーザーってあれでしょ?ゲーミングデバイスメーカーの。Razer。
いやぁ。昔使ってましたし、今もマウスパッドはSpeedEditionを使用してますよ。ええ。
やだもう、先生なんで私がゲーミングPC持ってるゲーマーだと知ってるんですかぁ。
あれぇ、問診票にそんな質問ありましたっけ?
いや、初対面だからとりあえずお互いの趣味から話を広げる感じですか?
脳裏に浮かぶ「レーザー脱毛」「レーザーメス」等の医療用レーザーの暗影から目を背けて楽しいことを想像して現実から逃げてみる。
先生「様子を見るでもいいですけど…。焼いちゃったほうが止まるのは確実ですけどね。」
え?なんですって?
あぁ、マウスパッドはコントロールのほうが確実に止まるって話ですか。
知ってますよぉそれくらい。やだなぁw(嫌だ、いやだ)※現実逃避
先生「やっぱりいきなり焼くのはちょっと…やめときます?」
先生のセリフの間から、ビビってるのがばれたっぽいぞ。
それに気づいたとたん、私の中から何かが動き出す。
私「あぁ…ぃゃ、あーそうですねえ( ;∀;)」
それは自尊心。
わしゃあこの間24歳になったんじゃあ。大人なんじゃあ。
そんなんが怖くて嫌なんて言うわけないやろがい!!
って騒いでいる。それを捨てられない見た目は大人。中身は子供の迷探偵がいる。素直にやめてと言えません。
私「あははぁ。…どうしますかねえ。」
怖いって言えないけど怖い。でも言い出したら負けた気がするので先生諦めてくれさいおねがいましゅ。
そんな雰囲気を強がりに乗せて送ってみた。
先生「じゃあ。薬出して様子見ましょうか。」
はい俺の勝ち。(号泣)
さっさとマスクして鼻の穴封鎖。
レインボーブリッジは封鎖できなくてざんねんでしたぁ!俺は封鎖したもーん!
勝ったぜえええ!
勝利を確信し、心の中で小躍りしてた。
すると―
「血件(ぢけん)は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
…ツーーッ。
私「―ッ!?」
勝ちを確信して白い歯を出して興奮したからなのか。もしくは踊る大〇査線ファンからの鉄槌か。
鼻血がだらだら出てきました。(マジで)とっさにマスクを外して鼻を押さえました。
もちろん先生に気づかれる。
先生「あぁ。出てきちゃいましたか。もう仕方ないですね。焼きましょう。」
私は観念しました。めっちゃ嫌だったけど。
だって絶対痛いじゃん。腕とかそういう話じゃないんだよ?鼻の穴の中だよ?
粘膜焼くんですよ????絶対痛いじゃん。やだやだやだやだやだああぁああああ!!!
私「ぉねがぃしあす。」
嫌がる自分を押し殺して、「え?別に平気だけど?」という雰囲気を醸し出そうときっぱり言ってやりました。
声は震えてました。
先生「じゃあ、麻酔するんで。」
いやあぁああ!ちょttttっとまって。一回考えよう?よーく考えよ?お金は大事だよ?
粘膜に注射器ブスゥゥウっはやばい。ブスは俺の顔だけでいいんだあああぁ
先生「グイグイッ」
私「ふんあ。」
ガーゼに麻酔薬を塗布してそれを鼻の穴に詰めて麻酔を掛けるようです。
ふ、ふう。ビビらせやがって。ビビってねえけどよぉ!( ;∀;)
その間にも血は出続け、吸引しながらぐいぐいやります。
先生「さて。それじゃあ焼いていきます。ちょっと痛いですよー」
私「はいッ。(麻酔しか勝たん♪)」
いっっっッッっっッいぃッ…でえええええええええええええええええぇええええええあああああああああああああああああああ(っ´༎ຶД༎ຶ)っ
非常に伝えづらいのですが、鼻の粘膜に裁縫針を2mm刺して、それを横へずぃいいいいー
って感じです。たぶん違うけど。
24歳の青年は椅子の上で小刻みに震えていました。
必死に耐えました。
膝の上で手を手のひらが貫通するんじゃないかってくらい握りしめて、目が半分つぶれるくらいの力でまぶたをぎゅうううううううってしてました。
くsssっそいたい。
麻酔は?ねえ?どこ行ったあいつ。プラシーボ麻酔じゃねえだろうなああああ!!!
時間にすれば2秒ほど。
でもものsっそい痛かった。終わった後に目を開けたら信じられないくらい涙が出た。
比喩表現とかじゃなくてマジで「どばぁーっ」って出た。いやマジで。
両目から7つくらい同時に涙出た。
のび太の恐竜2006見た時と君の膵臓を食べたい読んだ時くらいに泣いた。
いやマジで痛いからあれ。てか麻酔どこいったんマジデ。
麻酔かけてこれなの?かかってなかったらたぶん理性飛んで先生殴ってるよ?
そのあと先生が綿棒で止血したか確認したら、焼いていない別のところからまーた鼻血でてきて、まーーーた焼いて泣いて。
結局見えた血管(欠陥)ぜーんぶ焼きましたとさ。
涙の在庫が切れました。入荷未定です。
その4(ヒーローは遅れてやってくる。)に続く。