倒れたまま、まったく動かないあんなは、
身体が熱くて、呼吸は荒く、ぐったりしていました。
ひどく失禁してしまっていて、拭いてあげられるような汚れ方ではなかったので洗ってあげたかったのですが、あまりにも容態がよくなかったので、動かさないほうが良いと判断しました。
とにかくかかりつけの獣医院に電話をかけてみましたが、19時の診療時間をまわったところでしたので、つながりません。
あんなの様子を見ていると、もうこのまま死んでしまうのではないかと思えるほどでした。
頭をよぎったのは、脳溢血など脳に何か問題が起きたのではないだろうか、という思いでした。
どうするべきか、考えながら、とにかく必死にレイキをしてあげながらも、時間だけが過ぎていきます。
レイキが、あんなを助けてくれることを祈りながら、必死の時間でした。
そうしながらも、夜間対応してくれる獣医院をネットで探し、帰宅途中の夫に状況を伝えながら、獣医院に連絡を取ってもらいました。
その結果、車で20分ほどのところにある病院が、受け入れてくれることになりました。
夫と合流し、急いで病院に駆け込むと、年配の優しそうな獣医さんが迎え入れてくれたのです。
本当に、どれほどありがたかったことでしょうか。
不安な私たちの気持ちを推し量るように、獣医さんはてきぱきと診察を進めていきます。
熱は40度を超えていました。
目が揺れてしまう、眼振という症状が出ていること。
それ故、まったく起き上がることもできないほど激しくめまいを起こしているのだと、説明されました。
そんな状況なので、本人もかなり不安でパニックに陥って、呼吸も荒いのだということ。
留守の間、一人でどんなに心細かったことでしょう。
苦しそうなあんなを前に、本当に胸が痛みました。
診断は、前庭障害とのことでした。
耳の奥のほうの神経に炎症が起きているとのことでした。
原因は不明。
高齢犬には、時々ある病気のようです。
命に別状は無いこと、毎日点滴をして治療をすれば、うまくいけば1~2週間で治ることを聞いて、本当に安堵しました。
ステロイドなどの点滴を受けて、その晩はひとまずは帰宅できることになったのです。
ぐったり、動けないままのあんなを連れて、帰宅したのはもう深夜になっていました。
《続く》
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