たまたまラジオをつけたら
この番組だった。
涙がとまらなくなった。
私が中学3年の春、
いつもの書店で
たまたま目に入ったのが
『いちごえほん』と『詩とメルヘン』だった。
美しい絵と 詩・メルヘンにすっかり魅せられてしまった・・・なによりも
心を奪われたのが
編集長のやなせさんの温かな言葉で綴られたエッセーの数々。
まだ『あんぱんまん』は生まればかり
『詩とメルヘン』で細々と不定期連載されていた。
主人公の青年ヤルセナカスと 好奇心あふれる女の子ミテミルカ
2人のピンチを救うのがあんぱんまんだった。
当時はあんぱんまんのブレイク前夜。
まだ経営的に苦しくて
『いちごえほん』もまもなく休刊になってしまった。
そんな苦しい時を経て
あんぱんまんはブレイクして、やなせさんは押しも押されぬ人気作家になっていく。
私はただの読者だったけれど
時々編集部に 要望を書いたハガキや
下手な詩などを投稿した。
採用されることはほとんどなかったけれど、
(一回だけ採用された)
必ず編集部からは折り返し粗品が届いた。
今 考えたらすごいことだと思う。
中学生の私にはそれがとても嬉しかった。
読者のハガキにも
いちいち目を通して
気にかけてくださっていたやなせさんの温かさに感激してしまった。
こんな優しいやなせさんだから、
あんなに優しいあんぱんまんを生み出せたのだろう。
私も妻を癌で亡くしている。
一番苦しい時を支えてくれた
最愛の奥さまが癌に侵されてしまった・・・やなせさんの悲しみが 私には痛いほどわかる。
もう25年も前、突然 仕事中に妻が倒れ、それまでの私たち家族の生活は一変する。
・・・末期癌だった。
残された妻との日々が
やなせさんのラジオに重なって聴こえる。
当時はまだ保育園に通う息子と 小学校に入学したばかりの娘と3人暮らし。
しかも、脱サラして起業したばかりだった。
無我夢中だったけれど、
この秋、子どもたちも伴侶を見つけて
私の元から去っていく・・・
長いようで
あっという間だった。
今日はそんな妻の誕生日。