俺がドッグトレーナーになって間もない頃、一人の年配の女性が教室に訪れた。
「あの、こちらにドッグトレーナーさんがいると聞いてお伺いしたのですが?」
話を聞くと女性は3歳になるトイ・プードル(女の子)を飼っており、その子の噛み問題について困ったているということだった

「ルイ(仮名)は一歳半ぐらいで里親として私と家族が引きとったんですが最初から噛みつきが酷くて血が出るぐらいの強さで噛まれることもしょっちゅうでした。なんとか治そうと努力しましたが手に負えなくて・・別のドッグトレーナーさんに預けて訓練してもらいましたが全く改善されませんでした」
犬が噛みつく(本気噛み)のには当然理由がある。約7割が恐怖が原因である
女性は更に続けた。
「先日、ルイのことで家族会議をしたんですが主人と息子夫婦はもうこんな凶暴な犬とは暮らせない、他人を噛んで怪我をさせる前にルイを保健所で殺処分すべきだと・・でも私はルイを失いたくありません!せっかく生まれてきたのに殺処分なんてあんまりです!お願いしますルイを助けて下さい!」
そう言った女性は目に涙を浮かべていた
何とかその子を救ってあげたい
でも正直不安があった・・その当時の俺は経験もほとんどなく技術も知識もまだまだ不十分やった
ましてや他のドッグトレーナーが匙を投げた程の犬を今の俺がどうにかできるのか
その時、トレーナー養成所で師匠から言われた言葉を思い出した
「トレーナーとしてデビューしたらその日から新人もベテランも関係ない。飼い主さんからはプロとして見られてることを忘れるな
忘れるとこやった・・俺は殺処分される犬を救いたくてドッグトレーナーを志したんや
目の前の犬1頭助けれんで何がプロドッグトレーナーや
俺は女性に言った。
「わかりました。僕が必ずその子を救います
後編へ続く(キートン山田の声で)