タイミング~救難捜索の難しさ | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 昨日、富山から松本に向かっていた
セスナ機が墜ちた。今日になって
捜索隊が搭乗全員を救出したが、
残念ながら生存者はいなかった。
 
 親しい知人の所属する会社の機体
だったので一時は心配したのだが、昨晩
ご本人からお電話を頂戴し、こう言っては
なんだが、ご無事とわかり、一安心した。
 
 当初、事故の一報は後席の搭乗者から
携帯電話で寄せられたものだった。
つまり、その時点では少なくとも生存者が
いたわけである。
 
 「体を挟まれて動けない」という通報
だったので、無理な姿勢で長時間
堪えたのかもしれない。出血があったかも
しれない。まだ雪の残る山頂付近である。
夜は寒かっただろう。
 
 死因はまだわからない。ただ、結果として、
生存者からの救助要請を受けたのにも
かかわらず、救えたはずの命を散らしてしまった。
 
 2次災害の危険もある。日没を以て
捜索を打ち切った側に非はないと思う。
もし、もっと早い時間に起こっていたら…
もし、一発で現場を特定できていたら… 
「レバタラ」の話は禁物だが、残念な
思いもある。ここが救難捜索の難しい
所だとも思う。命を救う使命に燃える
あまり、自分が命を落としてしまっては
元も子もないからだ。
 
 事故現場の写真を見る限り、CFITでは
なさそうだ。機体は概ね原型を留めている。
回避操作を行ったのかもしれない。
残雪がクッションの役割をして、2人の
生存者を残せたのかもしれない。
 
 機長兼教官は30年のベテランだったという。
着氷? 乱気流? CFIT? あとは
事故調の報告書を待つしかないが、我々が
すべきことは、くどいくらいに書いてはいるが、
彼らが命と引き換えに遺していった事例から
学び、自分たちが同じような事故を絶対に
起こさないようにすることである。
 
 最後になるが、亡くなられた4名の冥福を祈りたい。