事故のレシピ | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 南米で、ブラジル代表の選手や、
元Jリーガー、監督経験者など、
錚々たるメンバーが搭乗していた
旅客機が墜落した。数人を残して
ほぼ絶望らしい。

墜落機と同型機
 墜落した機体は、ボリビアの
チャーター会社、ラミア航空が
運航するBAe-146型機。
小型のジェット旅客機である。

事故機の飛行経路
 向かっていた先が麻薬カルテルで
名を馳せたメデジンだっただけに、
謀略の可能性も捨てきれないが、
事故当時空港近辺は激しい雨が
降っていたという情報もある。
燃料切れとの情報も入ってきている。

事故現場
 航空事故の典型的な「レシピ」の
中に、この「目的地空港の悪天候」
というのがある。
 
 何回か進入を試みても滑走路が
見えず、ゴーアラウンドを繰り返す
うちに代替飛行場まで飛ぶ燃料まで
消費してしまい(あるいは最初から
代替燃料を搭載していない)、最後は
燃料が尽きるか、降りてはいけない
高度まで降りて地面に激突してしまう… 
今までも幾度となく繰り返されてきた
事故の典型的なパターンである。
 
 まだ原因調査以前の話(生存者の
捜索と救助)の段階なので邪推は
避けたいが、率直な印象として、
ラインの機長は大変だよなぁ… と、
事故の報に触れるたびにいつも感じる。
 
 私の場合は、同じパイロットと
言っても、天気が悪ければ飛ばないし、
航法訓練で目的地へ行っても、天候が
悪ければとっとと引き返してくる。
ラインはそうもいかず、お客様を目的地へ
送り届けるため、少々の悪天候では
降りなければならない。
 
 「ゴーアラウンドをためらうな」
 
 言うは易し、行うは難し。

 今風に言えば、「(悪天候から)逃げるは
(機長の)恥だが(安全の)役には立つ」

 というところか…

 とりあえず犠牲者の冥福を祈りつつ、
続報を待ちたい。