リオ五輪、レスリング女子。
「霊長類最強」と言われた吉田が
ついに負けた。
インタビューでも、表彰台でも
涙に暮れる姿からは無念の
思いがひししと伝わってくる。
「主将」の重責もあっただろう。
異種競技の代表集団に果たして
主将が必要なのか? 群れると
誰か「責任者」を置かなければ
何もできない日本人の悪い癖。
この重責が彼女を追いこんで
あそこまで涙に暮れさせたの
ならば、次回、東京には「主将」は
必要あるまい。
それはさておき、彼女もそろそろ
潮時。次回東京には代表入り
できるか微妙な年齢である。
上手く言葉では表現できないが、
勝って伝説のまま引退も格好
良いが、私はむしろここで吉田が
負けたことでレスリングの更なる
盛り上がりができると期待している。
「ヨシダ」を破るために自らも
階級を下げて挑んできたアメリカの
選手は、これまた勝って涙に暮れた。
「最強」を破ったあらたな「最強」の
誕生の瞬間である。彼女が金
メダルを首にかけた瞬間から、
世界中のレスラーが彼女を目標に
切磋琢磨を始めたのだ。
新たな伝説の誕生である。
「勝ち逃げ」といえば言葉は悪いが、
王者のまま舞台から姿を消し、
永遠に破られることのない姿で
「あのときの○○よりも強い」
などという変な基準で語られる
よりは、負けて「伝説」を五輪で
引き継ぎ、新たな世代がその
伝説に挑むほうがいい形だと思う。
日本女子だって新たな「ヨシダ」
的な王者が台頭する予感を
感じさせているし、常に王者は
戦いの中で決められていく
べきだろうと私は思っている。
伝説の継承、それは、いつかは
競技の伝統となり、王者の名は
永遠に語り継がれていく。