ハワイアン航空羽田着陸事故雑感 (2) | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 前回はタイヤのバーストについて
考察したが、今回は機体の重量と
燃料投棄について考えてみたい。
 
 旅客機、特に国際線を飛べるような
大型の旅客機には、「最大離陸重量」と
「最大着陸重量」というのが設定されて
おり、通常の運航では最大着陸重量
以上の重さで着陸することはできない。
 
 長距離、特に国際線を飛行する
飛行機は、出発時には多量の燃料を
搭載しているため、この最大着陸
重量を大きく上回った状態で出発する。
通常、目的地に来るころには予備の
搭載分を残して燃料のほとんどを
消費しているため、最大着陸重量をも
下回った状態で降りてくる。
 
 ところが、出発後間もない時点で
緊急事態が起きて出発空港に引き
返すとなると、機体重量が大きすぎて
最大着陸重量を上回ってしまう
状況が起こることがある。
 
 その際には(勿体無い話ではあるが)
空中で燃料を投棄して、最大着陸
重量以下まで機体を軽くすることが
多い。(最大着陸重量以上でも着陸
できないことはないが、その際は
降下率を極めて小さくし、接地の際の
衝撃を可能な限り弱める必要がある
ため、滑走路がかなり長くないと失敗
するリスクが高い)
 
 燃料投棄は、主翼後端にある燃料
投棄ノズルから行うが、機体が重たい
時だと、30~40分ぐらいかかることも
ある。念のために書き添えておくと、
空中に放出された燃料は、高速、高空の
状況下で瞬く間に蒸散してしまい、
地上に降ってくることはない。
 
 …と、ここまで書いていたら、
ハワイアン航空が今回の事故の経緯を
ホームページで公表していた。
 
 → ハワイアン航空羽田事故報告書


 とりあえずこれに目を通していただいた
上で次に進むことにしましょう。

     (続く)