今日は珍しく快晴無風。
揺れない週末だった。
クリスマス・フライトと銘打つ
この時期の遊覧、今日
ご搭乗のお客様には、きっと
ご満足いただけたフライト
だったと思う。
我々には何度も飛び慣れた、
いわば「ルーティン」のような
ルートであるが、お客様には
それこそかけがえの無い時間。
機体のことや飛行ルート、
高度、緊急時の際の手順など、
飛行前には冗談も交えて
お客様とできるだけ会話を
交わす。向こうも初対面の
人間に命を預けるわけだから、
緊張しないと言えば嘘に
なるだろうし。
不安をできるだけ取り除き、
空にいる間は全力で楽しんで
いただきたい。それが私の
たった一つの「機長のお願い」
我々にはなんとも無い、
ちょっとした揺れにも悲鳴を
上げるお客様。それが巡航に
入る頃には歓声に変わる。
グループでお越しのお客様だと
「すいません、ちょっと管制と
話してもいいですか?」と言って
お話を中断していただくことも…
着陸後の満面の笑みを拝見し、
お帰りのお見送りをする。
訓練機も、時折こういった
「お客様の翼になる」仕事に就く
事がある。機長はガイド兼任。
名残惜しいが、フライトには
必ず着陸という終わりが来る。
「…機長でございます」
着陸のブリーフィングである。
どうか、この思い出をいつまでも。
そしていつか、私と、この小さな
セスナで飛んだことを思い出して
いただければ、機長の無上の喜びです。
本日も、ご搭乗、ありがとう
ございました。少し早いですが
メリー・クリスマス。