
夏の風物詩といえばこの綿雲。灼熱の太陽に
照らされて勢いよく立ち上る上昇気流が作り出す
エネルギーに満ちた雲。濃い白色とどんどん
伸びていくその姿はまさに夏の象徴。
正式には「積雲」と呼ばれるこの雲、このまま
成長を続けると入道雲と呼ばれる「雄大積雲」に、
そして「雷雲」となって地上に夕立を降らせる。
遠くから見ている分にはいい。上を飛び抜けるのも
豪快で楽しい。捕まらなければの話だが…
だが、うっかり飛び込むと機体は派手に揺さぶられる。
離陸上昇中にこんなものが前に現れたら
(さぁ、どっちに逃げようか?)などと考え始めて
しまうのだが、訓練中、何も考えていない訓練生が
ボーっと真っ直ぐ雲に向かって突き進んでいると
「おい!」
と思わず叫びたくなってしまう。
そんな夏雲も、そろそろお別れ。遥か上空に箒で
掃いたような薄い筋雲が現れたら空は短い秋。
やがて北西の季節風が戻ってくる。