鹿男あをによし/万城目 学


ようやく図書館で順番がまわってきて、読むことができました。

TVの方はろくに観なかったんで、ほぼストーリー初体験で読んだのですが、中々に面白かったです。


お話の基本は、

主人公が異界(奈良)に行って、そこで自分(と世界)にかけられた呪縛を解くために、奮闘するというもの。

そこに爽やかな青春・恋愛要素が絡めてあって、

なかなかにキュンとする(←死語(^_^;)小説に仕上げてあります。


文体は明らかに漱石からの影響が濃いようです。

本人もそれは充分に自覚的にやっているらしく、作品内でも、

「マドンナ」というあだ名の女性や、

「坊っちゃんとはなんぞなもし」などという、半ば楽屋落ちな台詞が出てきたりします。

そうそう、主人公が赴任する学校の生徒が最初、反抗的なのも、『坊っちゃん』してますねw


蘊蓄も長々しくなく、全体通して読み易い作品で、ヒットしたのも大いに頷けますが、

一つばかり、感じた難があります。

それは物語前半部分の、進行の遅さです。

本筋に入ってくるまでに、三分の一程度の枚数を食っています。

これはちょっと、オレのようなスレた読者にとっては、苦痛でした。


でもまあ、そんな不満は些細なもので、基本はとても愉しい物語。

ページ数も長くもなく、万人にお勧めできる小説だと思います。


機会があったら、ご一読を。