エピソード31「いつもの様にだまされてアメリカへ-2」 | LACC(Life&Art Consierge) Blog

エピソード31「いつもの様にだまされてアメリカへ-2」

エピソード30いつもの様にだまされてアメリカへ-2


 有頂天のボクは、画廊主が差し出した契約書を見たが、正直、当時の語学力では、細部はよく分からなかった。アメリカのような、完全な契約社会で、契約内容の細部を知らないでサインすることは自殺行為に等しい。だからこそ、アメリカ人は何か契約するとき、必ず弁護士に相談し、立ち会わせる。でもあの時、ボクは、「ミスターヤマガタのサインは天下一品だから・・・」なんて歯の浮くようなお世辞に、馬鹿な鯛のように釣られた形で、わけの分からない契約書に、お得意のサインで鮮やかに署名してしまった。


 画廊から当座のお金を借り、月額450ドルのアパートの3ヶ月分も払い込み、ボクらは、夢のようなアメリカ西海岸での生活が、当分タダでエンジョイできる幸せにカンパイした。


「オラは酔っぱらっただ、ネエチャンは美人、ロスは天国一度はおいで!」


パリで聞いたウロ覚えの日本の流行歌の、そのまた替え歌をわめきながらハシャいで、アパートの部屋で由美子とダンスを踊った。


 根がキマジメなボクは、何はともあれ、仕事第一と、早速画材を買いにいった。みんな画廊のつけだし、いい仕事もしたいので、おしげもなく、ジャンジャン買い込んだ。


 万事その調子で、アメリカ西海岸ライフをノー天気に謳歌していたボクらは、週末にドサッと舞い込んだ、もろもろの請求書の分厚い束に目をむいた。まさに衝撃である。


「なんだ!話が違うじゃないか!」


 いきりたって、遅ればせながら、弁護士のところに駆け込んだが、後の祭り。画廊が用立てた滞在費から画材代案で、すべての費用は、みんな、あなたの前借金になるほかないという。


 冗談じゃない!パリからの航空券から、アパート代、自動車代など、マルマルこっちがかぶるくらいなら、誰が、こんなロスくんだりまでくるものか。他に、ボクを作家として、好条件で優遇してくれる確実な仕事が2つあったのに、言葉巧みにだまされ、最悪の選択をしてしまった自分の間抜けさ加減が腹立たしかった。





Life&Art Conciergeのブログ Life&Art Conciergeのブログ