エピソード27「新たな出会い」 | LACC(Life&Art Consierge) Blog

エピソード27「新たな出会い」

エピソード27「新たな出会い」

 離婚して、しばらく、解放感7、わびしさ3という、久しぶりの独身気分を味わっていたある日。

 メトロ(地下鉄)の中で、やわらかそうな漆黒の黒髪の女の子の後姿を見つけた。赤毛や、金髪ばかり見ているパリでは、日本の女の子の黒髪は、他の東洋人や南欧女性の、なんとなく硬そうな黒髪とも微妙に違った感じで、区別がつく。

 ボクは、暇つぶしに声をかけるなら、柔らかそうな黒髪の女性なら誰でもいいという心境だったので、早速話しかけてみた。

「久しぶり・・・。」

 これは、ルーブル通いをしているうちに知り合った、ルーブルを根城に観光客の女性専門にナンパしている、フランス人の色男ガイド(?)に教わった手口の初歩である。

 振り返った女の子は、センセイに伝授されたとおり、多少当惑したような表情をしながら、「こんにちは」と素直に挨拶を返してくれた。

「相手は多かれ少なかれ、困ったような表情をするけど、それは、自分が、こんな素敵な男性とどこで、いつ出会ったのか思い出せないで困っているんだ。かまわず突撃すれば、ナンパは成功するはずだ。」

まさに、現実の事態は、ルーブルのナンパのセンセイの筋書き通りに運んだ。

 女の子は、ほっそりとして背が高く、とても若かった。名前を聞いたら、ついでに電話番号を教えてくれたので、おやっ?と思った。初対面の男性に、年頃の娘の常識だろう。それを遇えて教えてくれたのは、ボクに好意を持っているか、誰でもすぐに電話番号を教える尻軽女か、それとも、こわいもの知らずのまだ子供なのか、のどれかだと見当をつけた。彼女の名前は由美子。まだ学生で、日本の小さな服飾新聞に、たまにパリのニュースを送っている。でも、その新聞、私の記事を使うくらいだから潰れそう、と正直だった。

なるほど、前の女房は、似たような仕事をしていたが、「パリ通信員」と構える感じだった。やっぱり若い子はいいな、とボクの心は弾んだ。だが待て!しばし。失恋の時も、離婚の時もそうだが、相手は年上、ばっちり自己防衛線を固めた、お姉さんたちに、手玉に取られ、“してやられた”感じだったが、今度はパリ生活5年目のキャリアで、グンと年上の、ボクのサエを見せてやろうと張り切った。

彼女はボクの電話番号を聞いたが、教えなかった。

こういうとかっこいいが、実は、離婚でアパートを追い出され、猫と同居している屋根裏部屋には電話がなかったのだ。

実は、この女性(由美子さん)とは結婚することになる。その出会いはナンパだったんです。


続く



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