Instagramで、通っていた高校名義のアカウントが更新されていた。

何でも図書館が出来て40年を迎えました、という内容だった。

 

写真を見ると白い建物が懐かしい。

受験勉強や、夏休みの宿題をしによく通っていた。そして同級生と会う楽しみでもあった。

通っていた回数があまりにも多かったこともあり、そこに在籍していた職員にこんなことを言われたことがある。

 

「あなた、そんなに図書館が好きなら『図書館司書』という仕事があるわよ」

 

高校3年のときだろうか。歴史が好きで、あの頃の友人たちも「くーちゃんは歴史の先生になるんでしょ?」と言われ続けた。

夢は教師になることだった。

しかし、図書館の職員にそんなことを言われて、自分の視野の狭さを知った。

(仕事に関して、視野が狭いのは今も変わらないだろうけど)

あの頃はインターネットもなかったから、仕事は身近に知ってることだけだった。

早速本を通じて調べたら、志望している大学で図書館司書の免許が取れることを知った。

 

それから間もなく、私は第2志望の大学に合格した。

正しくは、第1志望の大学の付属短大だった。

そこで図書館司書の資格を学んで、資格を取った。だが、あの頃にかなえたかった『四年制大学に進む』という目標のために、就職するのを2年延期した。両親はわかってくれた。

大学に進むと、図書館司書の免許がすでに取れていたので、ほとんど遊び暮らしていた。当然ながら、ギリギリで卒業した。

 

就職も図書館で働くことを考えていたが、折からの就職氷河期でそれが叶わなかった。何年か後に実家のある街で図書館司書を募集していたが、縁なく就職することがなかった。

ただ、図書館は好きで何度か足を運んでいた。

 

 

そもそも私の図書館好きの原点は、小学生の時に週末ごと来ていた市の移動図書館だった。バスを小さくした形の車でやってきては、大きな箱に本がたくさん入っていた。公園の中にある図書館が魅力的で、毎週のように通っていた。

そして、中学生になる前に引っ越して、隣町にある近代的な機械が導入された図書館にも通った。

週末ごとに父親の運転する車に乗り、図書館へ向かう。知らない本がたくさんあって、読むことが楽しかった。

社会人になってからは実家のある街に戻ったが、図書館が遠かったこともあり、書店に通う方が多くなった。

 

書店には、図書館にない魅力がたくさん備わっていた。常に新しい本や雑誌があり、お金を出せば買うことが出来た。図書館のように価値のあるものが丁寧な形で手に入れることはできないが、新しい情報が欲しかったので書店は魅力的だった。

そして、インターネットが普及した昨今は、その書店すらいけなくなった。隣駅にいけば仕事帰りでも立ち寄れるのに。

 

 

図書館はいくつになっても好きな場所だった。

もし、やり直せるのなら図書館司書の資格を生かした形で働きたいと思った。ただ、問題は給与面だった。近年、図書館をはじめとした文化施設で働く人達の給与が生活できる範囲じゃないという話を聞いて、胸を痛めた。自分自身も、新卒の時に文化施設で働きたいと思ったことがあったのでなおさらだった。

出来たら、図書館などのそういう施設で働く人達が安心して生活が出来るぐらいの給与を与えてほしいと思っている。彼らは専門職でもあるのだから。

 

Instagramの写真を見て、図書館のことを思い出してしまった。そして、そんなことを考えてしまった。