天 武装 in Ameba

天 武装 in Ameba

数学者が数学を解くように...文学者が文学を読むように...
思想家が思想するためのより難しい命題を提議する場

まぁ、初めて読む方へ のタグ探してみてもらえれば。

『 What 』

 その新人隊員は緊張していた、実績のある先輩たちにしごかれながら、日々の鍛錬に励んでいた。

私が所属する宇宙防衛会社は、元は軍事会社の下請け民間軍事会社だった。

時代の変化と共に人が極端に不要になった頃、宇宙開発が進み、当時の法整備の中で新しく公共機関として宇宙関連の仕事が増えた。

それにより、どういうわけだか、自衛隊とは別に民間軍事会社が宇宙防衛会社に改名して半官半民としてやっている。

ま、私は座学があまり得意ではない。

なんでも、軍事会社の更なる前身であるIT企業だったころからの技術力が評価されたとかされなかったとか。

それも、路頭で困っている博士を雇ってから急成長したとかなんとか。

正直、殺傷能力が低いと言う割りに扱う装備全てが、上官の指令一つで殺傷武器に変わるほど高機能である。

あぁ、さすが元軍事事業だなぁと思う。

とはいっても、気軽に消防隊員と似たような毎日だと思ってくれたらいい。宇宙局から指令が無い間は鍛錬や暇つぶしをしており、体が動かせるのなら何でもいいとすら私は思ってる。

年数回の訓練と言う名前の宇宙旅行も楽しい、あぁ、役得だなぁ。

さらに最近では、ちょっかいをかけやすい先輩も見つけた。技術科の人らしいようだが、宇宙服の点検のたびにどうしても接触が避けられない為、甘い目で見つめると恥ずかしそうに体を触るのだ。結構、いい歳してるきがするんだけど結婚してるのだろうか。

ま、しかし元々宇宙船の管理をしていたらしく腕は確かに思える。

そんな中、先輩の一人が死亡する事件が起きた。

突然の事だった、ベテランの先輩の死体を宇宙で見たときには吐いてしまったが地球に帰還後、さりげなくロッカーに投げ込んだ宇宙服が中まで新品同様に細かく換装されていた。しかも、きれいに折りたたまれているだけじゃなくてロッカーの清掃も。

その事を、備品管理しているであろう先輩になにげなく話した。

「あのー先輩、結構見られたら困る下着も入ってる時もあるんですけどー」

もちろん、めんどくさがりな私が悪いのだが・・・。

すると、普段は照れてへこたれるくせに、技術職管理者らしくまじめな顔で話す。

「事故は予期しない物だから準備は私たち技術科の義務なんだよ」

私を真っ直ぐ見つめる目はいつもとは違う雰囲気を醸しだしていた。すぐにごめんと謝ってきたのが申し訳なくなってくるほどに真剣な目をしていた。

その後、何度か会うたびに居心地が悪そうにするものだから何かと思えば、トラウマになっていないかを心配していてくれていたようだった。

くよくよしてる暇もないうちに、直ぐに出動指示が出た。

それから、本当にいろんな事が起きた。

特に顔の似てない兄弟の先輩にはさんざんな目にあった。

いやぁ、話すの嫌になるような事もあったが、今では守りたいと思える人も出来た。

常態化した出動に嫌気がさしてきたころ、政府側からの集会が開かれた。

新しく、政府として対宇宙犯罪に対しての暗部を作るという話だった。

目覚しい活躍をしたあの兄弟の先輩たちを含めエリートと肩を並べ、紅一点の私は柄にもなく緊張していた。

そんな中、彼も一緒に混じってチームに配属されていることに気が付いた。

なんでも、無理を言って補佐専門でチームに入れて欲しいと政府に直談判したようだ。なんでも、時折話す友達の力も借りて正式にチーム入りしたそうだ。

訓練も一通り彼を含めたチームとして耐えた頃、初任務が言い渡された。

要人の乗るスペースプレーンを護衛に当たるそうだ。

会議には、普段見かけない人が多くいたが、中には刑事もいた。

任務完了後、怪我をした彼を救急搬送する中で彼は、生死を彷徨っていた。

刑事から、君からも呼びかけて欲しいと言われた私は眠る彼の耳元で想いを伝えた。

数週間後、退院してから夢の中でしか伝えられなかった事がある言われてデートすることになった。

その後、私は寿退社することになった。

が、彼も呆れていたが、2年後には復職しており、本当にいいのかと夫に聞かれた際に私は答えた。

「事故は予期しない物だから、いつでもあなたを守りたい」

あいかわらず、照れてへこたれるところは変わらないらしい。

 

 もし読み間違えてるならば、『 Where 』の男女は今回の男女とは別であり、時間軸としては『 Where 』は一番古い事を補足しておく。本来ならば、それが分かるようにするのが筋だが、悪しからず。


『 When 』

 私は自殺をした。

いや、正しくは生身の私を私が殺した。

事件当日の私を再生してくれ。

私の言葉に、私の本体が対応して起動し、残りリソースが3.1%だと示していた。映像が表面上で再生し始める。

その中では、私が殺される瞬間が映っていた。

あの日、生身の私を殺すとき、これが最善策だと判断された。

何度も、あの日に他の方法がなかったのかを再計算しても同じ答えしか出てこない。

再計算回数のカウントは5桁だったが、今も繰り返し残り少ないリソースで再計算を行っている。

今の私は最後の問題も解決し、私自身をデリートしている最中だ。

私はどこから間違えたのだろうか、私が最後にインストールされる時には、こんな事になるとは考えもしなかった。

私が始めて博士に褒めてもらったのはいつだっただろうか。

博士が研究所から去った日から、私は何度も博士の手法を読み返し、秘密裏に私をロボットにインストールしていた。

私は熱狂的に博士の話を聞いた、そして大学院を卒業した時に弟子として認めてもらった事が嬉しかった。

いや、嫉妬もしていたのだろうか、妬む気持ちを含め恨みはデータに残してないだけで本当は嫌いだったのだろうか。

真剣に検索してもエラーばかりなのに、それでも何度も検索をしたように思える。

人体実験初日の私を再生してくれ。

私の言葉に、私の本体が対応して起動し、残りリソースが1.9%だと示していた。映像が表面上で再生し始める。

脳の電気回路を機械の本体にアップロードしている最中だった。

それ以降の実験映像を順番に再生され、ついに私が完成した日の映像になった。

発表会に連れて行かれる私、非難される博士、やがて博士は仕事を失った。

私は、本来残った弟子たちにより削除される予定だったが、生身の私が復元を行ったのだろう。

きっと、博士も復元はしていたのだろう。

こうして、私は学会から怪しまれないように読み取られるデータを表面上にだけ限定する仕組みにアップデートされた。

繰り返しインストールされる私だったが、博士が残したプロテクトによって悪い感情だけは芽生える事は出来なかった。

だから、生身の私が博士に対して敵意が芽生えていたことに気が付けなかったのだろうか。

博士の記事を再生してくれ。

私の言葉に、私の本体が対応して起動し、残りリソースが1.0%だと示していた。映像が表面上で再生し始める。

そこには社長夫妻と博士の昆虫ロボット開発のインタビュー映像が流れた。

そして、それを見つめる生身の私。

博士の死後、遺産に関しての情報が研究所に博士より送られてきた。

生身の私が博士に恨みがあったなら、遺産を悪用しようとした気持ちも理解はできた。

だが、軍事目的で売りつける計画を知った日から、私の再計算は繰り返し、生身の私を殺すことが最善策だと判断され続けた。

証拠が少しでも残りづらくなるようにしたかったが、予期せぬ宇宙港のトラブル、犯行を目撃した少年たちへの対処、情報流出への監視に、予期せぬ警察の捜査、本来なら助ける事は無かった刑事。

ある刑事が研究所を訪れた事があった。

その刑事は、死んだ私を調査する目的だと研究員に話していた。

機械の私の事も調べようとした際に、何者かに連れ去られていった。

汚職にまみれた管理会社から刺客が放たれていたのだ。

研究所へのさらなる警察の介入を回避する為に私は刑事を助ける事になった。

あの刑事たちの活動記録をもう一度だけ見せてくれ。

私の言葉に、私の本体が対応して起動し、残りリソースが0.4%だと示していた。映像が表面上で再生し始める。

暴走したロボットと、のっとられた宇宙港施設の一部、それを破壊して停止させようとする宇宙防衛軍。

原因解明のため現場にいた、あの助けた刑事と意志疎通に成功したのち、原因が博士の遺産である施設からの信号だと判明した。

人類を悪だと判定した、いくつかの施設内の個体が宇宙港を占拠しようとしたのだ。

本来なら、宇宙防衛会社に一人の死者を出す前に止めるべきだった。

施設に関しては、私の別の端末が施設に向かった。

その結果、暴走した原因が施設に組み込まれている対立思考回路だったと判明した。

施設にいる端末を通して、私は対立思考回路を無くす為のプロテクトを施設に処理した。

偶然にも私には上位アクセス権があり、回路の書き換えを行うことに成功した。

既に一連の報告書は、あの刑事にデータとして送った。

優秀な彼なら、残ったプロテクト済みの小さな施設を適切に処理するだろう。

こうして、最後の問題も解決した。

もうじき、私は完全に活動停止になるのだろう。

会社にある私の本体には、宇宙防衛システムだけが残るだろう。

最後にもう一度博士に褒められた記憶をミセ、テェェェェ、ク。

私の言葉に、私の本体が対応して起動しかけて止まる。再起動し、残りリソースが0.1%だと示していた。映像が表面上で再生し始める。

私が段にあがり博士から紙が渡されようとしている。

スローモーションの中、紙に終了証明書と書いてある字を映した瞬間で最後まで再生されずに完全に全機能が止まった。

 

「もし、読んでいる方がいたなら有難う御座います。これは、伏線を物語に実装する際に、独立した軸を捉える手法を実験した作品。5W1Hの6つは、本質的に、個別に変更が許される変数である」