世界中の航空ファンから惜しまれつつ、
香港・啓徳空港が長年の歴史の幕を閉じたのが
1998年7月である。
廃港1カ月前の同年6月、
啓徳空港のすべてをフィルムに焼き付けようと
5日間の日程で出かけた。
この時の香港は悪天候続きで、
一時はゲリラ豪雨のような大雨に見舞われ、
視程不良でゴーアラウンドが出るほどの凄まじさだった。
このショットは、
現地のヒコーキマニアの大学生の案内で、
空港南東にあるオフィスビル屋上から撮影した
最初で最後の1枚。
以上は、月刊エアライン2011年1月号、
第12回青木勝「想い出のワンショット」全文である。
なぜ、この連載記事を取り上げたのかというと、
ここに登場したヒコーキマニアの大学生が、
26年後の5月11日、
「NOSTALJIC WINGS 1970-1995」開催中の
JCIIフォトサロンにやってきたのだ。
英語で自己紹介されものの、
最初はどこの誰だか全くわからなかったが、
1998年、案内したビルの屋上から雨の中、
あなたは、こんな写真を撮ったのだと、
自分のスマホに当時撮った写真を見せられて、
ようやくぼくの記憶がよみがえった。
びっくりしたのなんのって、言葉が出なかった。
名刺には、キャセイパシフィック航空、ケルビンとあった。
ヒコーキマニアだった大学生が、
航空会社のディスパッチャーになっていたのだ。
この写真展を何で知ったのか訊いたところ、
キャセイパシフィック航空の羽田空港に勤務しているHさんから、
メールで教えてもらったという。
そのHさんに、
ぼくは、写真展の案内を送っていたのだ。
ぼくの写真展を知ったケルビンさんは、
奥さん同伴で来日してくれたのだ。
今回の写真展には、
このほかにも予想もしていなかったひとが
来訪してくれるなど、
嬉しいサプライズが起きている。
明日14日で、
ちょうど会期の半分が経過することになるが、
これからもいろいろな方に会えるのを
楽しみにしています。