初めてのスナック

最初は知り合いに連れて行かれ、お客として入った

私の身内は全員ほぼ飲めないので

冠婚葬祭でもお酒が振る舞われることはなく

アルコールとは無縁の世界だった

未成年の為、もちろん烏龍茶

見たことの無い形状の氷が入った烏龍茶は美味しかった

カラオケをたくさん歌う

当時カラオケブーム

田舎で遊びに行く場所もなかった私はカラオケが好きだった

他のお客さんにリクエストされてデュエットする

帰り際、ママに見送られた

バイトしてみない?と誘われる

そうして私の初めてのスナックバイトが始まった


週2回〜3回、時給は2000円

門限があるので3時間しかバイト出来なかったが

手取り月給7万の私には十分だった


最初に私に付いてくれたのは、やっちゃん

地元の中小企業の社長さん

高田純次さんみたいに飄々としていて優しくて面白い

門限がある私はアフターは出来ないので

お店に入る前に同伴で色々なお店に連れて行ってくれた

次の間がある日本料理屋、フルコースのフレンチ、カウンターで食べるお寿司屋さん

フォワグラ、キャビア、フグ、すっぽん、鱧…

私の知らない世界をやっちゃんはたくさん教えてくれた

保守的な地域で他県から来た18歳の私は珍しいらしく

他のお客さんも娘の様に可愛がってくれた

スナックでのバイトは楽しかった


暫くしてやっちゃんは

同級生の邦夫さんをスナックに連れて来た