祖母は厳しくて口も悪い
小さい頃は怖かった
でも大きくなるにつれて、祖母の厳しさは心底相手を思っての言動だと分かるようになってきた
そうでなければ、事故で両親を亡くした7人兄弟を赤の他人が育てるなんてことは出来ない
祖母は自分が産んだ子供3人と父の兄弟7人
男ばかり10人育て上げた
祖母はせっかちだ
私が話し始めるのを待たず、矢継ぎ早に聞いてくる
私は将来の夢、父や母のことを話した
祖母を納得させられるか、反対し連れ戻されるか半々
私の話を聞いた祖母は
「15や16のなんもできんお前が世間に通用するわけないやろ。世間はそんなに甘くない。家も土地もあって、養子取りをすればこの先そんなに不自由なく暮らせるのに、どうして..自分から苦労する道に行くん?」
とやはり反対
が、最後には「分かった。今日は疲れとるやろしもう寝よ」と言ってくれた。
初めて自分の気持ちを大人が理解してくれた安堵で、その日は良く眠れた。
翌日、目を覚まし台所に行くと父がいた。
昨夜の話し合い後、祖母が父に電話をしたのだ
私の所在を知った父は夜通し車を走らせて来た
父は私に背を向けたまま
祖母が父に言う
「nonの意思は固い、お前に似て頑固やしなぁ。応援してやるしかないやろ、ええな」
しばらく沈黙の後、父は私の方を向き言った
「そんなにお父さんのことが嫌いか」
「家を出るならそれならそれで良い。ただし今後実家の敷居をまたげない。それでも良いのか」
父は泣いていた
後にも先にも父の涙を見たのはこの時だけだった
私は頷く。
16歳冬、私は親に勘当された。