今日の話題は、シチュCD感想。
STORY~九葉文庫の語りべ男子~大前瑞季
CV:冬ノ熊肉
GOLDさんから、たぶん新シリーズ。
たぶん、というのは2作目以降の情報が上がってないから。
新シリーズか?というのは、今回のお話の中に2人ほど関係してきそうな人物が(名前だけ)登場したから。
今回の彼は大前瑞季(おおまえみずき)さん。
私設図書館:九葉文庫(くようぶんこ)の司書さんで、図書館で不定期に開催される朗読会の語り手でもある。
わたしは、趣味繋がりの友達に誘われて、初めて朗読会に参加してみた。
昼間は子供向けの朗読会を開いているようだけど、わたしが参加したのは夜に開かれている大人向けの『官能朗読会』。
ロマンス小説を読み聞かせてくれるというもの。
官能朗読会は二部制になっている。
一部と二部の間には15分間の休憩がある。
わたしが参加するのは一部のみ。
女性向けロマンス小説ということで、参加者は女性ばかり。
そこへ現れたのは、若くて官能小説とは無縁そうな穏和な男性。
今回読み聞かせてくれる本はイギリスのロマンス小説を翻訳したもの。
彼が語り出す。
読み聞かせってどういう風に進めていくのかと思っていたら、ざっくりと場所と登場人物たちの概要を話し出した。
そうして、物語が急激に動き出すところから、朗読が始まる。
ということで、しばらくの間、大前さんが朗読する小説を聞くことになります。
官能朗読会ということでロマンス小説だから、当然のことながらえっちシーンもあります。
ここで読んでいる小説というのが、なんだか面白そうなんです。
旅先でケンカしてしまったカップルが、それぞれに別の相手とアバンチュールという流れで、読み聞かせの部分はカップルの女性のほうが男性に声をかけられ、その人のヴィラへついて行ってしまう、というもの。
ケンカしたとはいえ、恋人がいる身でありながら、誰とも知れぬ相手と関係を持ってしまう。
そんな背徳感と共に感じるいいようのない高揚感。
その後、彼らはどうなってしまうのか。
どういう結末が待っているのか。
これね、すっごく気になる。(笑)
朗読会自体も、小説の最後まで読むというものではないようです。
区切りの良いところで一部の終了、15分の休憩に入ります。
『今夜はここまでにしておきましょう』
わたしは、一部のみの参加。
帰る前にトイレに行っておこう。
ところが、朗読会の会場がある1階のトイレは混んでいる。
そこで、2階のトイレに行ってみた。
パチ…パチ…
何度スイッチを入れてみても、電気がつかない。
困ったな…
そんなところで、不意に声をかけられた。
声をかけてきたのは、さっき朗読をしていた大前さん。
ここの電気は接触が悪いようで、スイッチを入れるのにコツがいるのだとか。
電気をつけてもらい、先ほどの朗読会の話や本の話をしたり。
わたしが二部には参加せず一人で帰ると言うと…
『ここから駅までの道で変質者が出たから一人では歩かないようにという注意書きを読みませんでしたか?』
「大丈夫です」と答えると、全力で反対された。
『僕が駅まで送ります』
ここで話し込まなければ、一部で帰る人たちと一緒に行動できたのに、引き留めてしまったから…と。
優しくて穏やかで、当然本の知識も豊富だから話題も幅広い。
それから、何度か朗読会に参加した。
連絡先の交換もした。
カフェでお茶したりもした。
会うたびに、話すたびに、彼に惹かれていく。
彼は、わたしのことをどう思っているんだろう。
連絡をすれば返事がくる。
彼から連絡が来ることもある。
きっと、嫌われてはいないはず。
だから…
「好きです」
勇気を振り絞って告白をした。
その瞬間、彼の表情を見て、思わず凍り付いた。
そこにあったのは、戸惑いの表情。
彼にとって、わたしはただの『友達』でしかない。
自分の浮かれていた気持ちが急速に沈んでいく。
「言わなければ良かった」
そう思っても、一度出した言葉は取り戻せない。
彼から、ときどきメールがくる。
告白以前のように…無かったことのように…
わたしも返事を出す。
けれど、朗読会へ顔を出すことは…できない。
もう少し、あと少し経てば、彼のことを「友達」として見ることができるようになる…かもしれない。
そんなある日。
彼から着信があった。
明日、昼間の朗読会に来て欲しいというものだった。
わたしの姿を見つけて、ちょっと安堵したように見えたのは気のせいだろうか。
彼が子供たちに読み聞かせるのは「うさぎさんとオオカミくん」という絵本。
ざっくりあらすじを語るところから始まるのは大人向けの官能朗読会と同じ。
このあらすじを聞いていると…なぜだかわたしと彼の関係に重なっていく…。
ここでは、あらすじを語るだけで朗読部分はカットされています。
実は、この絵本は彼のオリジナル。
といっても、保育士の友達に手伝ってもらったということですが。
この絵本のうさぎさんはわたし、オオカミくんは彼。
うさぎさんの好意を素直に受け止められたかったオオカミくん。
臆病だったから。
本当に大切なものが何かをわかっていなかったから。
二人が結ばれるまで、本当に本当に長いです。
ということで、裏名作品には珍しく、彼とわたしのえっちシーンは1回だけ。
一応、官能小説の朗読のところでえっちシーンの描写はあるけれど、あれは『わたし』ではなく朗読を聞いているというシチュエーションなので、本を読んでいるときの脳内映像とか、映画を観ているような感じとか、そういった感じになりました。
えっちシーンを体験してるのではなく、見てる(読んでる)という感覚ですね。
今作は冬ノ熊肉さんの朗読と演技の両方が楽しめるようになってる。
朗読もすごく良い感じでした。
ちょっとした間やテンポが絶妙で、小説の中へぐんぐん引き込まれましたね。
ただ、いつも不思議なんですが、こんなに私好みのリップ音や吐息を使っているのに冷静に聞けちゃうんですよね。(謎)
このお話、えっちシーンは少ないけれど、純粋に面白かったです。
恋心芽生えたばかりのうきうきドキドキを味わえる。
失恋することはないだろうと思っていても、『わたし』と一緒に地の底まで落ち込みましたけど…。(苦しかった)
読み聞かせ会に呼び出されたときの、期待する気持ちと、期待しちゃいけないと思う気持ちとで揺れ動いたり。
恋をして両思いになるまでの不安と楽しさと苦しさと喜びを全部感じることができる。
こういうお話は、やっぱりハッピーエンドが良いですね。
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