昨日観てきた舞台『美しすぎない女』。

これは、実際にあった事件を題材にしている。

日本のマスコミの典型的な流れだけれど、
事件が起きた一時だけ連日膨大な量の情報を流すが、
次の目を引く事件が起きたり、ある程度日数が経ったりすると
とたんに情報が少なくなる。
いや、ほとんど出てこない。

今、この事件はどこまで真実が出てきているのか。

被告はどうなっているのか。



舞台の中で、被告が某新聞社に寄せた手記の話が出た。


実際にこの手記が存在するのなら、読んでみたい。


そして、教えてもらいました。

『死刑判決の木島香苗の手記を読む』

で、検索すると一発で出てきます。


とても長い手記。

手記のタイトルに≪6≫まで番号が振ってあるので、
6日間に渡って連載されたということなのだろう。

そして、知らないはずだ。
私の購読している新聞ではなかった。


決して美しいとは言えない彼女。

その人のどこにそれだけの魅力があったのか。


劇中のセリフでこういうものがあった。

お金があるんだから、自分の容姿にコンプレックスを持っていたら整形するはず。

それをしないということは、自分に自信があるということ。



彼女の手記を読んでみて、確かにそう感じた。

自信に満ち満ちている。

その自信はどこから来るのだろうか。



これまで読んだり聞いたりしたことはなかったのだけど、
この人には『女友達』がいなかったようだ。

本人も手記で書いているから間違いないことなのだろう。

では、『男友達』はいたんだろうか。

ここら辺りには触れていないので分からない。

が、デートクラブに勤め、
自分の身体で不特定の男性からお金を引き出すことに
疑問も違和感も抵抗も感じていないようなので、
『異性の友達』もいなかったのではないかと思う。

思春期のころも、大人になってからも、
自分の心の奥底までさらけ出して語り合える『友』というのはとても重要。

一緒にご飯を食べに行って、当たり障りのない世間話をする
といった付き合いではなく、だ。

自分の『黒い』ところも、『白い』ところも、全部さらけ出して語れる
そういった付き合い、だ。

そうしてさらけ出した部分を受け止めあえる信頼関係
ということ、だ。


『男女間に友情はあり得ない』
と、考える人がけっこういるので、たいていはこういう『友』は同性になる。




さらに、手記では触れていないが、彼女は今回の逮捕以前に
たくさんの罪を犯し逮捕されているようだ。
窃盗だったり、詐欺だったり。

手記の中にも嘘か本当か分からなくなるとあったのだが、
『本命』とされている恋人とも偽名で交際していたことを考えると
最初についた小さな嘘のほころびが出ないように嘘をつき続け
そのうちに、どれが本当でどれが虚構なのか分からなくなったのだろうか。

虚言癖。

いや、疑似的な多重人格とでも言えばいいのか。


私・・・実をいうと、
男性として記事を書いていたことがある。
記事内容にほころびが出ないように、人物設定をした。
どこに住み、どんな仕事をし、どういう友達がいるかまで、細かく。
言葉使いも、自分(とーこ)とは違う。

2,3日に1回のペースで記事を書いていたのだけど、
正直なところ、面白かったのは最初の1週間くらい。

しばらくすると、自分の中に別の人格が出来上がっていくという
変な感覚が出てきた。

ぼーっと考え事をしている時、とーこが考えてる他に、
『彼』の思考が入りこんでくるといった具合。

徐々に『彼』の記事投稿を減らした。
『彼』として記事を書くことが苦痛になってきたから。

とうとう耐えきれなくなって撤退を決めたのは、
書き始めてからわずか1ヶ月後のこと。


少ない記事数、
このブログの文章量に比べて遥かに少ない文章でこうなのだから・・・
実際に偽名を使い、嘘のプロフィールを使い、
生身の人間に何度も接している彼女が、
嘘と本当が区別付かなくなってきたとしても納得できる。




舞台のセリフで、ハッとさせられるセリフがあった。

彼女は、殺人を犯しているが、実際に人が死ぬところは見ていない。
ゆえに罪悪感がない。


確かに、他の殺人なら、実際に血が流れているところを見たり、
息が止まる瞬間を感じたりするだろう。

ところが、睡眠薬で眠ったまま『練炭自殺』と偽っている。

人の死の瞬間に立ち会っていないんだ。



彼女の手記全体から溢れ出る『自分は悪くない』という気配。

これは罪を犯したという実感が伴っていないからなのか。




この事件に関してはまだまだ書きたいことがある。
まだまだ考えていきたいことがある。


でも、とりあえず、今日はここまで。









人気ブログランキングへ


ブログランキングに参加中

この事件興味あるんだって人も、今日は真面目なんだねって人も


よかったら、ポチっとしてあげて下さいな