2020年12月2日(水)

 

先日、「電熱ウェア」の記事を書きましたが、SC79に限らずGoldWingは電装品が多く装備

されていますので、消費する電力も大きいです。

 

SC79は灯火装置の全てが標準でLED化になってますので、それほど影響ないかと思い

ますが、グリップヒーター、シートヒーター、音響機器、ツイン電動ファンなど付いてます。

 

バッテリー容量は大きい(GYZ20Lサイズ)ものの、それなりの発電量がないと真冬の夜

などの「全ての電装品がONの状態」になったときに電力不足になることは必死です。

 

↓ 車用とほぼ同様の発電機(オルタネーター)です。

↑ アイドリングストップ兼スターター機構はDCT専用ですが、発電機はM/Tも同様です。

  DCTは発電機がスターターになるので、スターターモーターは付いてません。

   ↑現在のアイドリングストップ付き車の多くがこのタイプです。ただし、スターターも別に

     付いていて、最初のエンジン始動はスターターモーターで行い、以後のアイドリング

     ストップ後の再スタート時は発電機でエンジンを回しています。

     軽自動車は発電機とスターターは別のようです。(少なくとも日産車はそうだと、、、)

  M/Tは発電機とスターターは別で、スターターモーターがバック機構も担います。

 

  発電機の出力は約110A~130A(12V~14V)

  グリップヒーターなどの消費電力はもとより、総消費電力は不明ですが、メインヒューズが

  120Aですし、それにプラスして100A程度の別回路があるので、発電機の出力も納得の

  大きさです。

  

◆ 補 足 ◆

  ヒューズに書いてある数字の電流が常時流れているわけではなく、設定以上の電流が

  流れたら困る数値(電流値)が書いてあります。

  また、消費電力を上回る発電をしなければバッテリーに充電することもできません。

  常に消費電力より発電量が上回らなければ、バッテリー上がりになります。

 

  発電量の少ないバイクにグリップヒーターや電熱ウェアを追加装備した場合、発電はする

  ものの、消費電力に対し発電量が追い付かないので、長時間走行していたにも関わらず

  エンジン停めたらバッテリー上がりで再始動できず、なんてことがあります。

  なので、最近は車両のバッテリーを使わず、ポータブルバッテリーから電源を受給する

  タイプの電熱ウェアが流行っているようです。(ワークマン等でも人気らしいです)

    

  アイドリング時はエンジン回転が低いので、発電機の出力も100%とは行きません。

  発電機の出力が100%になるのは1,500rpm以上のときです。

   ※諸元表の最大出力値は1.56kw/5,000rpm

 

  また、エンジン始動後、約3秒くらいは発電しないように制御されているそうです。

  (電圧計が付いているので、見ていたら気づきました)

  ⇒ 始動直後はエンジン回転が不安定になるので、発電機の負荷が大きくなるとエンスト

     になることがあるので、このような制御があると聞いたことがあります。

     エンジンが冷えている時はアイドリングも高いですが、暖気後となれば回転が低い

     ままなので影響も大きくなります。

     ※サービスマニュアルを見ましたが制御に関する記載はありませんでした。

 

  試しに、車両灯火装置全点灯+グリップヒーター+シートヒーター前後+オーディオ+

  電熱ウェア(ジャケット、パンツ、グローブ)を作動させ、ヒーター類を最強で使用した時の

  アイドリング時の電圧は約13.1Vでした。

  エンジン回転を上げると14.5Vまで上昇することが確認できましたので、通常の使用

  範囲では問題なく使えると思います。 

  

  バイクをメンテナンスするときは、車からブースターケーブルで車庫のバッテリーまで繋ぎ

  そのバッテリーから車庫内の電気製品を賄うようにしています。

  なので、車庫で使う電装品は基本的に車用かバイク用など、シガーライターソケットタイプ

  の物や12VからUSB(5V出力)に変換するソケット等を使っています。

   ⇒ バイクのバッテリー充電、LEDライトの充電、携帯の充電、扇風機などの充電

      エアーコンプレッサーの電源など

 

  話が多岐に渡りましたが、電装関係のお話でした。

 

 

《今日の一言》

「基本的に電気はプラスとマイナスだけだけど、、、。」

 

◆解説◆

ヘッドランプを点灯させるとき、プラスとマイナスをつなげば光が灯ります。
電動ファンを回したいとき、ウィンカーを点けるとき、リレーをONにするときなど、その全てに
プラスとマイナスがあります。
そのプラスとマイナスをスイッチで切り替えたりコントロールすることで色々なことができます。
 
SC68の頃は電源からスイッチ、スイッチから灯火装置など、それぞれにプラスとマイナスの
配線が引かれており、それぞれに配線が必要でした。
しかし、SC79になるとCAN通信(多重通信システムの総称)が装備され、その制御も格段と
進化していました。
CAN通信とは2本の線のみで多くの通信制御を可能とするシステムですが、車には10年前
くらいから使われ始めていたものの、バイクに使われているとは知りませんでした。
 
CAN通信とは2本の線のみでヘッドライトを付けたり、ウィンカーを出したり、ストップランプを
点灯させたりすることができます。
正確にはそれらの機器を作動させるためのスイッチから出る信号を2本線でやり取りする
システムです。
スイッチをONにしたときの信号が1ならヘッドランプ点灯、信号が2ならウィンカーを出し、
信号が3ならストップランプを点灯させるなど、2本の線を多くのスイッチ間で共有して使用して
います。
 
最大の利点は配線の本数を極限まで減らせることです。
今までは、ヘッドランプSW、ウィンカーSW、ストップランプSWそれぞれに2本ずつの配線が
必要となる訳で、この3系統で最低でも6本の配線が必要です。
バイクにはスイッチやセンサーなど数多くあります。SC68は簡素化される前のスイッチの
多さなので、ハンドル左右の操作スイッチ系統の配線数はハンパ無いです。
 
しかし、CAN通信搭載のSC79ではその配線の少なさは歴然ですが、スイッチから配線を
辿ってもほとんどの場合、電装品にたどり着けません。配線は各ECUに行くだけです。
 
私が言いたいのは、スイッチから出ている配線を加工して色々と改良したいのにできないこと
です。たとえば、スイッチの位置を入れ替えたり、別のスイッチにその役割を移動したりなど。
SC68のとき、走行中にハザードスイッチが押し難かったので、パッシングSWにその機能を
移設していました。純正の機能はそのままに、パッシングSWを押すとハザードが作動する
ようにしていました。この場合、パッシング機能は使えなくなりますが、ハイビームが使えなく
なる訳ではないので、ロービームとハイビームを切り替えてパッシングの代わりとします。
 
SC79のハザードSWも押し難いので改良したかったのですが、CAN通信で制御されている
のでいじることができません。
 
もちろん、技術の進化による素晴らしい通信技術なのでこれ以上を求めるのも何ですが、
私にはこの記事の⑧で作業した程度しかできませんでした。
 
一昔前のバイクはエンジンも電装系も色々といじれましたが、今は電子制御の塊で我々が
いじれる範囲は極僅かになってきました。
 
無駄の排除、環境問題、コストなど様々な問題や課題があった結果だと思うので、素直に
ありがたくバイクに乗せて頂きます。