※大学生フーゴと警官アバッキオの過去捏造(?)注意。
※原作は、星新一の「暑さ」。
※出て来る動物が(カブトムシ以外)原作と変えてあるのは、作者の趣味。
↓
アバッキオ「あ!?何だって?
…まぁ、立ってるのも何だから、ここ座んなよ」
※原作は、星新一の「暑さ」。
※出て来る動物が(カブトムシ以外)原作と変えてあるのは、作者の趣味。
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アバッキオ「あ!?何だって?
…まぁ、立ってるのも何だから、ここ座んなよ」
フーゴ「話を聴いていただけるんですね。聴き終わったら、逮捕してくれますか?」
アバッキオ「自首か?話の内容によっちゃ、本署に来てもらうことにもなるだろうな。何をしたんだ?」
フーゴ「いえ、まだ何もしていません」
アバッキオ「それなら、誰かを脅すように頼まれたとか、何かを盗んで来るように人に頼んだとでも…」
フーゴ「僕の言いたいのは、そんなことじゃあない!今にも自分が何かしでかしそうで、恐ろしいんです…」
アバッキオ「ま、こう暑くちゃ無理もないさ。ときどき、そんな訴えがあるんだよ。家に帰って昼寝でもすれば、スッキリすんだろ。
それに、俺達警察としても、何の事件も起こらないうちは動きようがないんだ」
それに、俺達警察としても、何の事件も起こらないうちは動きようがないんだ」
フーゴ「…ちょうど1年前のこんな暑い日、僕は殺したんです」
アバッキオ「何ッ!?なぜ、それを早く言わない!?誰を殺したんだ!」
フーゴ「ウサギです。僕の飼ってたウサギを」
アバッキオ「お前な…。自分のペットのウサギを殺したからって、自首するには及ばないんだぜ?
しかも、1年も前の話を、なぜ今になって持ち込む?そういう訴えなら、この先に神経科の病院があるから、そっちへ行ってくれないか」
しかも、1年も前の話を、なぜ今になって持ち込む?そういう訴えなら、この先に神経科の病院があるから、そっちへ行ってくれないか」
フーゴ「僕の頭がおかしいと考えているのでしょうね…。ですが、まずは僕の話を一通り聴いていただいても構いませんか?」
アバッキオ「今は忙しい訳じゃあねぇから、話して気が済むんなら話してもいい。ただし、話は簡潔に終わらせて、二度とここには来ないでほしいもんだな」
フーゴ「ありがとうございます」
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フーゴ「僕は小さい頃から、暑いのが苦手なんです。暑いと頭がぼんやりして、それでいて、とてもイライラして来るんです」
アバッキオ「暑さで頭が冴える人間はいないだろう?誰だってそーなる、俺もそーなる」
フーゴ「僕の場合、特にそれがひどいんですよ。『何かをしなければならない』―そんな衝動が強くなって、それを抑えようとすればするほど、気が狂いそうになるんです」
アバッキオ「だから、誰でもそうだろ。それで、スポーツなり読書なり、自分にとって適当なものにストレスの捌け口を見つけ出す訳だな」
フーゴ「僕も、自分なりの捌け口を持ってはいるんですが…」
アバッキオ「そんなら、いいじゃあないか。何も交番に来てまで大騒ぎしなくても…」
フーゴ「もう少しですから、まぁ聴くだけ…。
その捌け口を見つけたのは、小学校の夏季休暇の時でした。高まる暑さにどうしようもなくなって、ふと部屋の窓に目を向けると…窓ガラスにハエがとまっていたので、潰してみたんです。
すると、それまでのイライラが嘘のように消え、その夏は清々しい気分で過ごすことができました」
その捌け口を見つけたのは、小学校の夏季休暇の時でした。高まる暑さにどうしようもなくなって、ふと部屋の窓に目を向けると…窓ガラスにハエがとまっていたので、潰してみたんです。
すると、それまでのイライラが嘘のように消え、その夏は清々しい気分で過ごすことができました」
アバッキオ「結構な趣味じゃないか。他人に迷惑がかかる訳でもないし…」
フーゴ「次の年の夏も、やはり暑さでイライラが強くなりました。そこで、前の年を思い出し、ハエを潰してみたんです」
アバッキオ「ふぅん」
フーゴ「でも、駄目でした。どうしたものか…ジリジリとした絶頂の中で考えていると、偶然にも解決策が見つかりました。
何だったと思います?」
何だったと思います?」
アバッキオ「さぁ…」
フーゴ「カエルを潰したんです。その夏は、それからずっと清々しい気分でした。
そして、次の夏はコツが分かって来たので、親切な神父からカブトムシを貰って、それを潰すことでイライラを抑えられました」
そして、次の夏はコツが分かって来たので、親切な神父からカブトムシを貰って、それを潰すことでイライラを抑えられました」
アバッキオ「へー…」
フーゴ「こうして、僕の頭は狂うことなく、今に至っているという訳です。一昨年の夏は、カラスを殺しました。
その頃にはすっかり慣れて来て、秋になると次の夏の準備を始めるようになりました。早速、ウサギを飼ったんです。ウサギも飼ってみると、案外可愛いもんですよ」
その頃にはすっかり慣れて来て、秋になると次の夏の準備を始めるようになりました。早速、ウサギを飼ったんです。ウサギも飼ってみると、案外可愛いもんですよ」
アバッキオ「Zzz…」
フーゴ「とても殺す気にはなるまい、と思いました。しかし、去年も暑さが増すにつれ、イライラを抑えきれなくなって…
僕はウサギを刺し殺してしまったんです!!」
僕はウサギを刺し殺してしまったんです!!」
アバッキオ「(ビクッ)な、何を、どうしたって!?」
フーゴ「ウサギを殺したので逮捕してほしい、という話です」
アバッキオ「ウサギの話は、さっき聴いたばかりじゃあないか。
それに、お前は昆虫採集のようなことに捌け口を見出して、正常に過ごしてる。そんな奴を捕まえる訳にはいかねぇよ」
それに、お前は昆虫採集のようなことに捌け口を見出して、正常に過ごしてる。そんな奴を捕まえる訳にはいかねぇよ」
フーゴ「…そうですか。分かりました。
今日はもう帰りますね。お邪魔しました」
今日はもう帰りますね。お邪魔しました」
アバッキオ「おぉ、そうしろ。帰って、家族に冷たいお茶でも淹れてもらうんだな」
フーゴ「家族はいますけど、今は寮暮らしなんです。
昨年の秋に、飛び級して大学に入って―」
To Be Continued…?