ちょっと寂しくなるパン
昔はこーゆーミニサイズじゃなく、
もっとロングサイズだったような気がする。
当時、保育園児だった。
おれの中で、このパンはモスラパン(コロネだよ)と同じくらい大好きで
レベル的にはケーキと同格。
それほど大好なのに、
寂しくなる思い出がいっぱい。
当時、母も働いてて、時々弁当が作れないこともあった。
通園途中のコンビニっぽい店で(当時はまだコンビニはなかった)
母が買ってくれた、おれの一番のお気に入り。
弁当がなくても、
これがあれば幸せ。
が、
通ってた保育園は
菓子パンは弁当に入れて持ってくるとゆー
意味の分からないルールがあったらしく、
お昼ご飯の時間になって
菓子パンを取り出すと
先生が鬼のように怒る。
今思えば、ちょっと注意をしたくらいかもしれないけど、
泣きそうになるくらい叱られたような記憶が今でも残ってる。
当時は言葉もろくに知らないガキだったけど、
今ならあの時感じたことを言葉にできる。
理不尽。
まして、母は手抜きをしたわけじゃない。
だから、迎えに来た母にはそのことは言わなかった。
最近になって、その話を母にすると、
先生から注意を受けたらしい。
母も理不尽とは思ったけど、
それからは菓子パンを買うときは空の弁当を持っていくようになった。
今、それを思い出して思うのは、
おれって
賢い上にお母さん思いのできた子。
尾頭真紀 「ここ、最大のオチですよ~」
違う。
時は流れても、おいしさと記憶は薄れることはない。
ちなみに、このパンを見た甥っ子は
両端の色が付いてる部分を見て
「これ、食べられるんかな?」
……。
そこは取り除いて中だけを食べるんだ。
と教えたおちゃめなおれ。
いい大人になったな、おれ。
尾頭真紀 「…極悪人ですね」
ちがうもん、小悪党なだけだもん。