社会保険料を節減するための5つのテクニック
本日は、社会保険料についてお話しします。少子高齢化に伴って社会保険料の負担は増してきています。その金額、なんと給与額面の約30%!(これを会社と社員で折半するので、会社負担は約15%です)社会保険料を適切に節減することは、会社の経営に大きなインパクトを与えるだけでなく、社員の手取りにもダイレクトに影響するため、とても重要なことです。そんな社会保険料をどうやったら適切に節減できるのか?中小・ベンチャーで現実的に活用しやすい施策を中心にまとめましたので、ご覧ください。1. 雇用契約ではなく、業務委託契約を締結する雇用契約でなく、業務委託契約であれば社会保険への加入義務はありません。働く方は社員ではなく、個人事業主という扱いになります。最近ではフリーランスとして活動されている方も多くなってきていますし、節減効果も最も大きいので、真っ先に検討される選択肢ではないでしょうか。【メリット】 そもそも社会保険に加入する必要がないため、大幅な費用削減が可能 (ただし個人事業主の方で保険に加入する必要はあるので、それも勘案した報酬設定が必要) 支払金額に消費税を含めれば、消費税の節税にもなる 煩雑な給与計算や保険加入手続きが必要ない【デメリット】 中長期的なコミットメントが相対的に低くなりがち 社員ではないので細かい労働時間の管理などはできない キャリアアップ助成金などの雇用関連助成金が活用できない2. 社員採用時、最初は試用期間として2ヶ月の有期雇用契約とする2ヶ月以内の有期雇用契約であれば、社会保険への加入義務はありません。また、会社として適正を見極めるためにも、2ヶ月の試用期間を設けるというのは妥当ではないでしょうか。注意点としては、3ヶ月目以降も更新される前提ということになっていると、遡及して入社時点から社保加入するように行政指導が入る可能性があることです。更新前提ではなく、更新する可能性もある、というような見せ方が必要です。なお、更新して3ヶ月以上雇用した場合は、そこから社会保険への加入が必要になります。【メリット】 2ヶ月分の社会保険料が丸ごと節減可能 試用期間を設けることで、自社にマッチしない人材を正社員にしてしまうリスクを低減 (業務委託では活用できない)雇用関連助成金が活用可能【デメリット】 試用期間中は、社員側で国民健康保険・国民年金に加入する必要がある(費用負担および手続き)3. 社会保険料の等級のスキマを狙った報酬を設定する社会保険料は給与に対して直線的に上がる訳ではなく、階段式に上がります。例えば、以下のようになります。(金額は平成30年時点・東京都内の一般的な事業所のものです) 給与額 社会保険料(労使合計) 270,000円 78,988円 289,999円 78,988円 290,000円 84,630円 ご覧のとおり、給与が270,000円と289,999円でも保険料は変わりませんが、290,000円になった途端に保険料が約5,600円上がっています。年額に換算すると約68,000円もの違いになります。この仕組みを利用して、上記の289,999円のように、階段(等級といいます)を登るギリギリのラインに報酬を設定することで、社会保険料を節減できます。ただし、いくつか注意点があります。 報酬額には「通勤手当」や「残業代」が含まれる 毎年4〜6月の支払実績をもとに、9月分の保険料から更新される(手続自体は7月)安定してスキマを狙うには、みなし残業を活用して残業代を一定化させる等の工夫が必要です。4. 交通費を通勤手当ではなく実費での経費精算にする上記3でも記載した通り、社会保険料算定のベースとなる報酬には、通勤手当が含まれます。ただしこの通勤手当、たとえば在宅勤務が多い社員や、客先勤務の多い社員について、実費での経費精算とすることで、保険料算定のベースから除外することができます。(本件に関しては際どい論点だったため、執筆時に都内の年金事務所に問題ないことを確認しています)ただし、通勤定期を購入して毎日出勤しているなど、実質通勤手当として算入すべきものを実費経費精算するのはリスクが高いので、あくまでも在宅や移動が多い社員に対して適用するようにしてください。5. (役員向け)社宅を活用する自宅を法人名義で契約し直し、役員向けの社宅として運用。その分役員報酬を減らすというテクニックです。手取りを変えずに社会保険料と役員個人の所得税を減らすことができるので、極めて有効です。ただし、社宅賃料を全額会社が負担すると、それは給与(役員報酬)を増やしていることと同義なので、給与課税されてしまいます。それを防ぐためには、役員個人から社宅賃料のうち一定以上の金額を徴収する必要があります。その「一定以上の金額」をいくらに設定するかは難しいのですが、一般的には賃料の50%を徴収していれば問題になることはまずありません。(この詳細については複雑な論点ですので、本格的に運用するなら税理士にご相談されることをおすすめします)【メリット】 大きく社会保険料を節減できる 役員個人の所得税も節減できる【デメリット】 法人で住居を契約する手続きが必要(できない物件もある) 役員報酬を変えられるのは、基本的に 事業開始または決算から3ヶ月以内のみなお、社宅は役員以外にも適用することが可能です。ですがその場合、従業員が離職した場合の賃料負担や手続きが問題になるケースもありますので、適用範囲は広げすぎないことをおすすめします。