7時間半にも及ぶ脊髄ヘルニアの手術が終わり
病室に戻った時に、衝撃的な事実を伝えられた。

気管挿管を固定するためのテープを剥がす際、
顔の表皮がテープに持って行かれてしまったのだ。

場所は頬で、しかも両側。

◆左頬→幅3㎝×縦1.5㎝
◆右頬→幅6㎝×縦1㎝(一番太いところ)

かなり目立つところな上に、結構大きく、
極め付けは両側にある。

すぐに看護師さんが、
湿潤療法のプロアクティブというテープを貼ってくれていた。

そのため、私は負傷直後の傷を見ることはできなかったが、
家族の話によると、表皮がなくなって真っ赤になり、
痛そうで、かなり酷かったそうだ。

整形外科の看護師さんも、
「本当にひどい。もう、手術部の看護師にはクレームですよ。」
と、怒っていた。

テープによる表皮剥離はよく起こるのか聞いてみた。
皮膚の弱い人は、たまにあるけれど、
ここまで酷い人はあまりいないそうだ。

今回は、手術がうつ伏で行われて、
しかも時間も7時間と長かったので、
テープが強くくっついてしまったらしい。

私はこの時、手術の兼ね合いで、
頭を上げて起きることを数日禁止されていたので、
寝たきりの状態だった。

頭のあたりに置いておいたバッグの中から
鏡を取り出して顔を見てみると、
両頬全体を覆うように、大きなテープが貼られていた。

一体どんな傷になっているのだろうか。
不安でならない。


□負傷後翌日
朝、鏡で見てみると、
昨日貼ってもらったプロアクティブがパンパンに膨らんでいる。

特に左に傷は幅は3cmだが奥が深かったようで
浸出液でかなり膨れ上がっているようだ。

夕方ごろになって、
皮膚科の看護師さんが病室に来てくれた。

浸出液もかなり出ているので、
一度テープを剥がすことになった。

そして、翌日に皮膚科の先生が診てくれる予定だそうで、
その日はガーゼにワセリンをたっぷり塗って過ごすことになった。

乾かしてしまうと、跡が残りやすいので、
とにかく乾かさないようにした方がいいらしい。

跡が残らないか聞いてみたら、
なんとも言えないけど、
ここまで酷いと残る可能性もあるかもしれないと言われた。


ガーゼを貼ってもらう前に、鏡で初めて傷を見てみた。

こ、これは、なんと。。。
めちゃくちゃ目立つではないですか。。。。
言葉にならなかった。

左は横幅は3㎝程だけれど、高さが結構ある菱形。
右は高さはないけれど、横が6㎝程あり、
口元から耳の近くに向けて一直線を描いている。
まるで口裂け女だ。


辛い。辛すぎる。
ただでさえ術後で辛い思いをしているのに、
顔面にこんな傷を負うとは。

手術部の看護師さんは、
勢いよくテープを剥がしたのだろうか。

せめて、片方のテープを剥がす際に、
表皮剥離に気がついていてくれれば、
どちらか一方だけの傷で済んだかもしれない。

でも、思い返すと、手術の時の看護師さんは、
とても優しかった。

手術直前、手術台に寝て麻酔をかけられる時、
私は少し怖くなって、涙が流れた。

そんな時、
看護師さんが私の手を握ってくれて。
肩を優しく撫でてくれて。

看護師さんの手が、とても温かくて、
なんて優しいんだろうと思いながら、
麻酔で意識が遠くなっていった。

そのおかげなのか、
幸せな心が温かくなる夢を見ている間に、
手術が終わった。

だから、手術部の看護師さんには、
感謝しているし、
テープで傷をつけられても恨んではいない。

ただ、もうちょっと何とかならなかったのだろうかと、
思うのも本心だ。



□負傷後2日目
皮膚科の先生が診察に来てくれた。
かなりお若い女性の先生だ。

皮膚科の先生は、さらっと傷を見て、
このままガーゼにワセリンつけて貼っておけば良いですと言われた。

本当に?それで綺麗に治るのだろうか。
腕とか、足ではなく、顔面なので、
できる限り元の状態に近いところまで治したい。

おまけに、私は最近傷跡が残りやすく、
ちょっとした擦り傷なども茶色くなって消えにくくなっていると感じていた。

皮膚科の先生に、そのことを伝えて、
跡は残らないですかと聞いてみた。

先生の返答は「残るかもしれないですね。」

なんと!!
それは一大事だ。

繰り返しになるが、
腕や足ならいいけど、今回は顔面の傷。
できる限り元に近い状態に戻したいのだ。

本当にワセリンで良いのか。
ワセリンと昨日まで貼っていたプロアクティブだと、
治り方に違いはないのか聞いてみた。

帰ってきたら返答は、
「どちらでも良いです」だった。

ひ、ひどい。。
そりゃ、先生にとっては、どちらでも良いでしょうよ。

結局、どちらでも良いですという返答を残し、
先生は外来へ帰っていった。


少しすると看護師さんがやってきた。
看護師「皮膚科の先生、どうするって言ってましたか?」

私「最初ワセリンと言われて、
プロアクティブとどちら方が治りがより良くなるか質問したら、
どちらでも良いですとい言われて。
結局どちらにしたら良いのかわからないまま帰られました。」


私は、恐らくプロアクティブの方が治りが良さそうな気がしていた。
しかし、テープなので数日おきに張り替えなくてはいけない。

古いテープを剥がす際に、
せっかく治りかけた傷が剥がれたりしたら、
元も子もない。

それを看護師さんに相談した。
看護師さんは、
ちょっと相談してくるねと言って、
ナースステーションへ向かった。

しばらくすると、
看護師「やっぱりプロアクティブにしましょう。
ワセリンは保湿だけしかできないので、
傷を治すという点ではプロアクティブの方がいいと思います。
剥がす時は、剥離剤を使えば、綺麗に剥がれると思います。」


あぁ、ここの病院の看護師さんは、とても優しい。
親身になって考えてくれて、本当にありがたかった。

そんなわけで、
傷にはまたプロアクティブを貼ることになった。

まだ寝たきり期間だったので、
傷跡の綺麗な治し方について、ネットでいろいろ検索をした。

・浸出液が出ている間は湿潤療法が良さそう
・表皮再生した後は紫外線に当てないこと
・保湿
・外部刺激を避ける
・ビタミンAビタミンC

なるほど。探すと情報はたくさん出てきた。
よし、できる限りにことをしよう。
少しでも元に近い状態にするために!


つづく