2015年の大学入試は終盤にきている。現役で東大・京大に強い高校はどこなのか。「現役合格率」(現役合格者数÷卒業生数)が高い高校を紹介したい。

 49%と、例年どおりのずば抜けた「東大現役合格率」を誇るのが、筑波大附駒場(東京)だ。合格者数では開成(東京)の176人に次ぐ2位だが、卒業生157人の約半数にあたる77人が現役で東大に合格した。

 濱本悟志副校長は、「夏期講習などは行わないし、受験勉強をするように、うるさく言うこともありません」と話す。

 同校は、生徒が前年から計画を立てて文化祭や体育祭などの学校行事を行うことに力を入れている。受験のことを考えて、春に体育祭を実施する進学校が多いなか、9月に体育祭、11月に文化祭を行っている。

「センター試験の2カ月ほど前に行う文化祭に、高3生も全員参加します。行事も受験勉強も急にはできません。綿密な計画を立てて、基礎を固めながらじっくりと進めなくてはいけない。先輩が学校行事や部活と受験勉強を両立させる姿を後輩も見ている。そのことが現役合格率の高さにつながっているのだと思います」

 先輩は在校中に「ロールモデル」となるだけでなく、卒業後はOBとして学校を訪れ、高校3年間の過ごし方や行事運営のアドバイスもするという。

 東大現役合格率2位は、31.5%の灘(兵庫)だ。

 高三学年主任の田畑敏之教諭は、筑波大附駒場との共通点を口にする。

「東大合格者数1位になったこともあり、東大に多くの合格者を出すという伝統があります。先輩を見て、『あんな感じで受かる』とわかるので、物怖じせずに挑戦することができます」

 中学入試の算数の問題が難しいことで有名だ。

「中学入試の段階で、算数が得意な生徒が入ってきます。今年度の高3生は、中学に入学した当初、数学研究部に30~40人も入っていました。今年の東大の数学の問題は難しかった。得意な生徒には有利でした」

 ただ、昨年と比べ、東大の合格者数は101人から89人(現役69人)に減った。

「昨年は医学部志望者が少なく、東大志望者が例年になく多かったからです。今年は東大理III・京大医学部の志望者51人をはじめ、77人が国公立大の医学部を受験しています」(田畑教諭)

 3位の開成(東京)、4位の桜蔭(東京)、5位の聖光学院(神奈川)までが、卒業生の4人に1人が東大に現役合格している。ランキングの上位には、国立や私立の中高一貫校がずらり。公立は24位の日比谷(東京)の6%が最高だ。

「学習進度が速い中高一貫校では、高2までに英語や数学の全範囲を終えるのが一般的。高3で演習問題に取り組むことができます。特に数学では、6年間のカリキュラムを組むからこそ、中学時から教えられる考え方や解き方があります」

 中高一貫校が有利な例として、海城(東京)の例をあげる。

「以前は高校からの入学者がいたため、6年間を見越したカリキュラムを立てにくかった。2011年に高校の募集を停止してからは、6年間のカリキュラムを組むことができ、その結果、今春の東大合格実績は飛躍的に伸びました」

 昨年は、東大合格者数が38人(現役21人)で、現役合格率は7.8%の21位。今年は合格者数54人(現役41人)で、現役合格率は14.9%に倍増し9位となり、ベストテン入りした。