櫻葉のお話。
BLなのでご注意ください。


















「ほら、可愛いでしょ?」




そう言ってぼくに見せて来たのは、お母さんの腕に抱かれた生まれて間もない赤ん坊で初めて出来た弟。





「うわあぁっ…!かわいーねぇ…」
「ふふ、翔くんお兄ちゃんですよー」
「しょおくん?」
「うん、翔くんってお名前になったのよ」
「しょおくん!しょおくんかわいい!」




お母さんの腕の中ですやすや眠るその寝顔も、ふくふく柔らかそうな頬っぺたも、小さな鼻も唇も躰も。翔くんを表す全てが可愛いくて可愛いくて




「あのねあのね!」
「ふふ、なーに?」




湧き上がってくる興奮を抑えきれず、ベビーベッドへ翔くんを寝かすお母さんの服をくいくい引っ張っぱれば柔らかい笑顔をこっちに向けてくれたから




「しょおくんはまーくんのたらかものだね!」




最近覚えた “  たからもの  “  を伝えた筈だったのに。


お母さんはキョトリとしてから


「たらかもの、じゃなくて宝物かな?」


そう笑いながらぼくを抱っこしてくれた。






そんな可愛い、大事な大事な宝物の翔くんが来てからぼくの日常は少しだけ変わった。





「もー、雅紀!はやくご飯食べないと保育園の時間なるよ?」
「まーくんいそがしいの!」
「…忙しいって翔を眺めてるだけじゃないの」
「ちがうの!しょおくんがおきたらいーこいーこしなきゃなの!」





前までは保育園に行くのがたのしみで、早く保育園の時間にならないかなーってわくわくしてたのに。


翔くんがぼくの弟になってからは、保育園の時間になるのいやだなーってなっちゃった。


だって保育園に行っちゃうと翔くん居ないし、抱っこもよしよしも出来ない。




「ご飯食べないで保育園いくの?」
「きょおほいくえんないよ?」
「いや、あるわ!」
「ぶー…」
「今日はプールあるって喜んでたじゃないの」
「…いらない」




ほんとはプールたのしみだし、大好きだけど。

でも翔くんと遊べるならプールいらないしやっぱり保育園はやだ。



「…雅紀、いい加減にしなさいよ」



お母さんの声が怒る時の声に変わって思わず躰がびくり、と跳ねたその時



「ふえぇっ…」
「あ!しょおくんおきたぁ!!」



ベッドの柵が邪魔で翔くんの顔が見えないけど、でもこの可愛い声は間違いなく翔くんが起きたサイン!



「あらら…翔も起きたから雅紀早くご飯食べなさい」
「まって!いーこいーこしたい!」
「もー…いい子いい子したらさっさとご飯食べるのよ!」
「はぁい!」
「ふえぇっ、ふえぇん!」



はやくっ!はやくっ!そう言いながら足踏みすれば、お母さんに抱かれた翔くんはぼくの目の前に来た。



「はい、いい子いい子してあげて」
「くふふっ!しょおくんおはよぉ!」
「ふえぇっ…」
「ふふ、しょーおくん。いーこ、いーこねぇ?」



小さな頭を、お父さんとお母さんに言われてた通り優しく優しく撫でて。

柔らかいおでこにちゅっ、とちゅーすればふえんふえん泣いてた翔くんはゆっくり瞼を開いて、大きなくりくり可愛いぱっちりおめめをぼくに向けてくれた。



「翔くん、お兄ちゃんがおはよーって」
「くふふ、しょおくんおはよぉ!」



翔くんのふくふく頬っぺたを、指でツンツンすれば翔くんはにこおーって可愛い笑顔になった。














つづく













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これも引っ張って来たお話です!◡̈⋆
過去作ほぼほぼおとな表現有なので公開範囲が…。
これも途中に怪しいのと、最後に少しおとな内容有
でも緩いから最後まで全体公開でいけそうかな〜( ˊᵕˋ ;)