南米ウルグアイの首都、モンテビデオにやってきました。
ウルグアイは南米のアルゼンチン、ブラジルという2つの大国に挟まれた
人口わずか300万人の小国。
それにも関わらず一人当たりのGDPは中南米で最も高く、
ラテンで最も裕福な国として知られています。
ウルグアイという国を語る上でイギリスの存在を抜きには
語れません。中南米といえばスペインという国のイメージを
持つ方が多いと思いますが南米の最南端である
ブラジル、アルゼンチン、そしてこのウルグアイの国が
作られてきた歴史上で、大きく影響してきたのはイギリス
の存在です。
特にこのウルグアイはイギリスの意向が強く
関わってきた国であり今でもウルグアイの中央銀行の株主の
一部はロスチャイルド家が保有していると言われています。
現在のアルゼンチンの首都、ブエノス・アイレスがある場所、
ラ・プラタ地方は欧州からの船が着く湾に面してそこから
ラ・プラタ川が流れるかつてのイギリス貿易における
通商の重要拠点であり隣国のブラジルからの侵略を防ぐ目的もあり
その緩衝地帯としてイギリスの手で無理やり作られた国が
このウルグアイです。
その後、南米で唯一のオフショア市場として現在にいたるのも
イギリスが深く関与してきた国であることが伺えます。
ウルグアイは民族的には完全な白人文化でもあり
治安に優れた街並みは中世のヨーロッパそのものであり
スペインを訪れたような錯覚に陥る国です。
文化的、民族的には隣国のアルゼンチンに近く、アルゼンチンと
同じく話すスペイン語は欧州のスペインのスペイン語と似ていると
言われています。
スペイン語と一括りに言っても中南米のスペイン語はヨーロッパの
スペイン人が話すスペイン語とアクセントはもとより言葉もやや
異なり、自分が住むドミニカ共和国のスペイン語なども
中南米の中では訛りは比較的強い方で、かつかなり早口
のため全体的に聞き取りにくいです。
ドミニカ共和国のスペイン語が聞き取れる
人はおそらく他の国のスペイン語はかなり聞き取りやすいのでは
ないでしょうか。
中南米のラテン文化と言っても実際はそれぞれの国で元々の
民族、文化などが異なる国の集合体であり、例えばこのウルグアイ、
アルゼンチンは一括り、ペルー、ボリビア、エクアドル、なども
大きく分けるとこの3つの国が似通るインカの文化、アイマラ民族、
アイマラやケチュア語の言語体を持ちます。
ウルグアイとボリビアは近隣にいるものの文化、民族的には大きく
異なり、同じ中南米と括るにはかなり無理があるぐらい異なります。
更に南米の中でもベネズエラから東に行くとガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、
トリニダなどの国もあり、ここも文化、民族はインド系、イスラム教徒が
多く言語も英語ですし、一般の日本人が持つ中南米のイメージとは
異なるのではないでしょうか。
ウルグアイの首都、モンテビデオにはバーベキューの市場という
名物市場があり、その市場に一歩踏み入れると様々な場所でバーベキューを
焼いており、肉の美味しそうな匂いが立ち込めてきます。
ウルグアイの伝統的な産業は牧畜業であり、20世紀に開発&改良された
冷凍船の発明はウルグアイと隣国のアルゼンチンの牛肉輸出に
より多くの富をもたらしました。
ただウルグアイが一人当たりのGDPで中南米で1位という
豊かさを生み出しているのはこの国の金融業によるところが
大きいです。
「南米のスイス」とも呼ばれているウルグアイは、中南米屈指の
金融立国でもあり首都のモンテビデオ、この中央銀行と証券取引所を取り囲む
ように世界中の金融業者が集まる金融都市です。
中南米の歴史はかなり波乱にとんでいます。中南米の経済史は
デフォルトの歴史と言われるぐらい財政破綻が身近なのです。
近年ではアルゼンチンやベネズエラでハイパーインフレが起きていますが
1900年代後半ではブラジル、アルゼンチン、チリ
エクアドル、ボリビア、ペルー、コスタリカ、コロンビアなど
様々な国が何回もの破綻を経験しています。
自分が住むドミニカ共和国でも2004年には準ハイパーインフレが起きており
当時、ドミニカ人が銀行に預けていたお金は3分の1に目減りした
経緯もあり、ラテン人の多くは銀行に貯金をすることが安全とは
かけ離れているのを体験として理解しているのです。
また中南米では独裁者による圧政やクーデターも1900年代から
多くおこなれており、これらの財政破綻やクーデターの度に、
隣国の資産家達はスーツケースに
資金を詰め込んでは粛清の波から逃れるように
ウルグアイに逃げてきた歴史があり
ウルグアイが「南米のスイス」や「裏のウォール街」と
呼ばれているのはこのためです。
ただ近年、裏のウォール街としての世界におけるウルグアイの
金融市場としての競争力は急激に失われつつあると
訪問する度に強く感じます。
特に銀行や証券会社の手数料におけるコスト面においては
現在のウルグアイは米国に太刀打ちできないでしょう。
太刀打ちできないというよりも米国によりこの10年で
金融市場としての競争力を意図的に抑えられてしまったのが
このウルグアイであり、これは中米のパナマ
やコスタリカ、欧州のスイスなども同じです。
ここ10年、大きな中南米の金融市場を見てきましたが
このような状況が起きてきたのはなぜでしょうか。
ウルグアイ、というよりもスイス、香港、ドバイなどをはじめとした
世界の金融国の競争力そのものが失われつつあるのは
一番の理由は大国アメリカの強い意向があるからです。
アメリカはここ10年で最も力を入れてきたのが世界でのタックスヘブン
としての役割であり、特に2008年の金融危機の後で大規模な金融緩和を
した時からこの動きが活発になりつつあります。
(アメリカがタックスヘブンというのは初耳という人がいれば
ネバダ州やデラウェアを訪ねてみればいいでしょう)
パナマ文書やパラダイス文書に始まる一連の他国のタックスヘブンへの
攻撃は、別に富裕層を叩くのが目的でもなんでもなく
アメリカのタックスヘブンの市場としての競争力を押し上げるために
意図的なリークとしてされたものです。
また香港の政治問題の複雑化により、東アジアや東南アジア市場
からの資金が逃げつつあり、ここもタックスヘブンとしての
長年の役割は静かに終えようとしています。
アメリカはこのアジア方面においても自国の
タックスヘブンとしての地位を押し上げることに成功しました。
またアメリカは金融コストとしてもスイスやウルグアイ、ドバイなどの
金融立国よりはるかに競争力を持つことに成功しています。
先日はクレディ・スイスが世界で大幅に人員削減するという
ニュースが話題になりましがスイスの銀行や投資銀行が今後
縮小傾向に向かう流れは変わらないでしょう。
スイスUBS なども日本では最も知られているプライベートバンクですが
現実的にUBS の役割は商業銀行としての役割が強く
またアメリカの意向でコスト高を強いられる傾向は続くでしょうし
ここも大きく政治的なパワーバランスでも変わらない限りは
アメリカとの競争には勝つことはもうできないでしょう。
(アメリカの金融政策の根幹を支えているもの)
アメリカがここまで金融市場でのタックスヘブン国としての
アメリカの地位を押し上げるのに尽力を注いできたのには大きな理由があり
それは2008年の世界危機以降、金融緩和によりばらまいてきた
米ドルを今度はFRBにドルをきちんと戻していくという流れを作るのに
どうしても必要だったからです。そうでないとばら撒く一方で
アメリカの国そのものが破綻してしまいます。
アメリカがあれだけ狂ったように金融緩和を続けても破綻しないのは
この金融市場でのアメリカから出た米ドルが再度アメリカに
戻ってくる米ドルのもう一つの逆流の流れ、このシステムを
長期的に構築することに成功しているからです。
ドルをばらまく→クレジットカード社会で借金による大量消費→
中国や他国などからアメリカへの輸出を支える(世界経済の循環
を支える)→アメリカは多額の債務を抱える→
タックスヘブン化によりアメリカへの資金回収の流れをつくる。
このシステムにおいてウルグアイは南米の中でも重要な役目をしており
それはアメリカからコロナなどの大規模な金融緩和で
大量にばらまかれた米ドルのうち
ブラジルやアルゼンチンなど南米の国々の米ドルを再度アメリカ国内に
戻すための窓口としての役目をしているのがウルグアイなのです。
アメリカにあるバンクオブニューヨークは世界最大のカストディアン銀行
であり世界中の投資家のカストディFeeによって
その地位を維持していますが一方で
FRBの大株主でもあります。
その世界最大のカストディ銀行でありFRBそのものとも言える
バンクオブニューヨークは
パナマ文書以降において、競合とも言えるパナマやカリブ海の島々の
タックスヘブンやスイスの存在感が潰えていく中で、
中南米市場から多くのドル資金を吸い上げるための
窓口をここ数年で数多く設けてきましたが
その南米の窓口として最も重要な役目を果たしてきたのが
ウルグアイの金融業界の住人達であり、また現在の基軸通貨であり
米ドルを中心とした世界経済における仕組みを末端で
維持するための役割をしていると言えるでしょう。
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ウォーレン・バフェット
パナマ文書やパラダイス文書の本当に重要な事は
アメリカへの資金還流がこれまで以上に強まるということである。
この国(米国)についての悲観的な発言を耳にするたびに、
私は「彼らの発言は狂っている」と考える
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