生まれたばかりの子供は大きくなってくると言葉を習得し始めますが大人の言語学習と
根本的に違うなと感じていることがひとつあり、それは彼らがしている
作業は「言葉を覚えるのではない」ということです。
彼らが学習していくのは「概念」であり、それに何らかの音を組み合わせる、
のそれだけです。
概念というのはそもそもxxxは何か?という理解みたいな感覚です。
素早く正確に理解していくものもあれば目に見えない言葉については観念的な
世界なので手探りで少しづつ理解していくものもあったり言葉により様々です。
特に観念の世界の話は大人でも抽象度の違いにより理解力にとても
差がつく分野です。

この中の、音=大人などが発した言葉は子供はひたすら意味もわからなくても
繰り返して言い続ける特徴がありますがこれで音を拾う感じでしょうか。
おそらく数年のうちにこの能力は後退するのではと思いますので
生まれてからほんの数年のうちだけなのではと。
個人的にはできればネイティブスピーカーが音を耳に入れてあげる方が
正確な音が拾えるので良いのではと思います。
例えば日本で英語を子供に教えようという時に、日本人の両親で英語ができたとしても
ネイティブではないので音源がどうしても異なる。

我々大人が教えるのは言葉ではなく「概念」感覚であり、プラス
音を吹き込んでいく作業。
一度概念を理解してしまった後であれば、その後音を吹き込むのは
スペイン語でも日本語でも英語でも、AIロボットでもSiriの音声でも
なんでも聞いた音に反応していく、
ただその音入れの前に概念の理解がまだされてないと、音に
反応はしますがまたすぐに忘れてしまい、再度の学習が必要になり
効率も悪くなるという感じ。

ちなみに大人の言語学習だとやることは真逆になり更に効率は悪くなります。
まず音を「単語帳」という名の勉強で覚える、その後に単語の意味を覚える
=概念を覚える。すでにもう脳に概念が既成されているのに、
またわざわざ概念を重ねて覚えようとするから、脳の中でわざわざ喧嘩させているような
もので本来の脳の働きと異なることをやろうとしているな、とか思います。
大学のTOEFLなどは難しい単語もでてきますがこの場合は概念もまだよく知らない
科学用語などをさらに覚える場合は概念もないのに、単語帳だけで覚えるなどは
更に状況は悪くなります。

子供に対してこういう概念を教えていく、そして脳に概念形成が
行われていき、「あれっ、これが記憶とかと関係するのかな」と
気づくようになると、どうなるのかなと?と興味が出てくるのが
「幼児期健忘」の問題です。

「幼児期健忘」というのは幼児の頃の4歳前の記憶をほとんどの人が
覚えてない理由はなぜかという問題でこのメカニズムの解明ができれば人間の脳の
解明はまた1歩飛躍的に進むのではと考えられている分野です。
(人の脳のシステムはほとんどのことが実は未だに未知で解明されていない)

およそフロイトが文献を出したあと、100年以上も優秀な人たちによりこの
幼児期健忘の研究は続けられていますが、いくつもの学説はあるものの未だに
確定的な理由は分かっていません。

最近になり米国の神経学者がマウスを使った実験により「海馬」により発達する
新しい神経細胞が記憶の忘却を促進するということが発見されていますが
ただまだ多くのことがそれでも未知の状況です
ちなみにこの「海馬」はなにかというと
海馬は自伝的記憶(自分で体験した出来事に関する記憶)を記録する脳領域で
脳の中でも重要な部分のひとつです。
この自伝的記憶というのは自分はまさにこの「概念」というものではと
感じています

大人の世界でも概念を理解してないもの、というのはほとんど記憶に残らない
のではと思います。よく言われるのが毎日同じ道を歩いているとします、その道の
途中に例えばですが、耳せんを扱う店があったとします。通常耳せんの店なんて
あってもまず素通りです。耳せんどこに売ってる?と言われてパッと答えられる
人は少数派なはず(笑)、前を何回も通っていてもたいてい記憶にも残らないはずです。

ところがある時に「隣の犬が夜うるさいので耳せん買いたい」ということになると
どうでしょうか。耳せんという情報が重要となった段階ではじめて、耳せんの概念が
脳に入り、自らの視界に入るようになります。同時に「あそこの通りに耳せんの店がある」
と記憶にも残るようになるのです。

実は我々の脳というのは自分が「重要視」しているものしか視界に入らないし記憶にも
残りません。脳は必要ないものはサボる癖があるのです。
専門用語ではスコトーマ(心理的盲点)とも言われるこれらの現象は
子供にもあてはまるのかなと。
おそらくですが幼児の段階ではまだ概念の数が乏しいため、自分の人生に重要視している
ものも少ない、結果として記憶にも残りづらいのではという仮説も考えられるのではと。
もしくはこの概念の形成と上記の海馬の神経細胞が密接に関係しているかもしれない
とも仮説を立てられます。

我が家には絵画の「モナリザ」のマグネットが冷蔵庫に貼ってあり、
子供が「これはモナリザだよ」とママや周辺の人にに言い始めた段階で
小さくマグネットに日付を書いておいたのですが、これで15年後とかに
このモナリザの記憶がどこまで残っているのかちょっと見てみたいなと。