「小さい言語学者の冒険」という本があります。

 

海外で子供に日本語を教えていくという時に

なかなか良い情報がないのですがそんな中で

言語学の研究をしている人の本なども参考にしてみた

ことがあります。

 

例えばですが

この本に出てくる「音」と字をいかに頭の中で

リンクさせるかの問題は自分もよく考えることで

「しゃ」「しゅ」など特殊音や擬音『が、パ」とか

こういう音を聞いてから平仮名の文字に書き込む際に

頭の中で音と文字をリンクさせていくというのは脳の中で結構複雑な

作業だったりします。自分も子供に書きかたを

教えていて途中で気づいたのが

「あっ、聞いた言葉の音と文字が頭の中でリンクしてないんだ」

ということに気づいた経験があり、これはひとつの

「発見」でした。

 

例えば「パイナップル」ぐらいの音なら割とどの子供もすぐに

リンクさせて書けると思います。

(カタカナが書けるか、というのは「音」ではなく

また別の問題です)

 

では、次にしゅうちゅう(集中)するという言葉はどうでしょうか。

仮に平仮名の「しゅ」や「ちゅ」が書ける子供でも

一つの言葉として書くと言う場合は事情が違ってきます。

「しゅうちゅう」というのは一つの和音であり、この耳で拾った音を

うまく平仮名にリンクさせるのは一回聞いただけだと

難しいのです。覚えてない段階で「しゅーちゅー」や「しゅちゅう」、と

書こうとするのは自然なのです。

 

何回かリンクさせていきながら、人間は

ようやく言語音と文字との背後にある

一貫したシステムがあることを理解していきます。

例えば一度しゅうちゅう(集中)という言語音と文字システム

の関係を理解すると今度は「しょうちゅう(焼酎)」という

似た言語がある場合に対応ができます。

これは日本人が英語の長い単語を聞いた時にすぐに英語の単語

として正確に書けないのと同じ、と言えばわかりやすいでしょうか。

 

最近子供とよくゲーム感覚でやっているのが

カタカナの書く練習のために世界の国や首都の名前を書かせて

みたりすることです。国の名前は擬音がとても多く出てくるので

音と文字の規則をシステムに慣れるのにちょうど良いのです。

ロシア、アメリカ、ドミニカが書ければ1点、

オーストラリアやアルゼンチン、ニューデリー、シンガポール

などは2点とかパプアニューギニアやスリジャヤ・ワルダナ・プラコッテ

が3点とかやると結構盛り上がります。

 

これらのひとつひとつを学習しながら文字と音を

ひとつづつリンクさせられるようになるのは

人間の脳の不思議さを感じたりする部分です。

というのもこれらの分野は今、AIの分野でも取り組まれており

近年のディープラーニングの発展で劇的な改善がされていって

いますがそれでも「同時翻訳」などではまだ完璧ではなく

ユーチューブなどの同時翻訳を見ているとまだまだ

細かい間違いが多いのに気づくと思います。

人間の脳の研究はまだ全体の数パーセントしか解明されてない

のですが脳のすごさを改めて感じます。
 

 

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「小さい言語学者の冒険」より

 

自分の身のまわりで、親、兄弟、親戚や保育士さんや

先生が話していることばには色々な音があって、

どんな特徴をもとに整理できるのか、音と音の関連を

見いだせるのか、音の使われ方にはどんな決まりがあるのか

という知識を、子供は無意識のうちに脳内でつくりあげます。

 

そしてやがて音と文字との関係についても知識の幅を広げて

いくのです。「は」に点々をつけたら何ていう?と聞かれた時の

様々な珍回答は、大人が見逃している、言語音の背後にある

一貫したシステムや法則性について私たちにむしろ多くの

ことを教えてくれているのです

 

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