米国が2022年の間に6回前後の利上げをするというアナウンスは
市場における大きなゲームチェンジャーとなる転換点であり
それに伴い日本でも円安がジワジワと進行してきています。
また米国の利上げの影響はドミニカ共和国をはじめとした
中南米の多くの新興国市場でも多くの影響を与えそうです。
添付のように歴史的にドルが相対的に他の通貨に比べて強くなる局面では
中南米の市場でも資本が流出していく傾向にあるからです。
当然のようにドミニカ共和国の国債マーケットでも米国の利上げ
アナウンスに付き添うように相場が下落をはじめており
ドミニカ共和国だけではありませんが新興国の多くのマーケットでは
10年ぶり以上ぶりぐらいに相場が下がっており
2022年から2023年にかけてこの1年はドミニカ共和国も
債務の返済に影響していくものと思われます。
詳しいメカニズムはここでは言及しませんが
国債の価格が下がるというのは金利が上がることを意味するからです。
このような状況の中でドミニカ共和国の場合もコロナ禍の2年で
極度のインフレが進行しており、ここで更に資本流出が強まると
ドミニカ通貨のペソ安が加速する可能性が懸念されますが
その中の対策の一つとして昨年に発表された
IMF(国際通貨基金)からの大規模な「SDR割り当て」というものが
どこまで機能されるかが注目されるところです。
昨年の夏場にドミニカ共和国の中央銀行はコロナ禍で外債増加などで
目減りする外貨準備の補填に充当することを目的として
IMF (国際通貨基金)から6億5000万ドル(約750億円)相当の
大規模なSDR (特別引出権)が配分されたことが発表されました。
SDRというのはIMF が発行する仮想通貨の一種でこれらの仮想通貨は
必要な時に米ドル、ユーロ、ポンド、円、人民元の5通貨をSDR
で購入して使うことができます。
ただし用途は政府債務などかなり限定されており民間の
貿易決済などのために使うことはできないのが特徴的。
上記の流れで、ドミニカ共和国の国際収支について大きく影響を与えてきたのが
外貨準備金の積み立てです。2020年からIMF からの資金投入が急激に
増えていることが伺えますが2021年の統計で更に増加しておりそれに
伴い、外貨準備金の積み立てが過去最大規模になってきているのです。
国債の市場を取り巻く環境が世界的にも冷え込む中で
個人的にはドミニカ共和国もこのSDRを少しづつ対外債務の返済の割り当てに
使用していくののではと推測します。
ただ2021年から2022年にかけて観光業の回復の中でサービス収支
や第二次所得収支は回復してきており良い兆しが出てきています。
ワクチンの前倒しなどで経済全体の活気もコロナ前の状態にまで
戻ってきたことも明るい材料です。
ちなみにロシアとウクライナの戦争が泥沼に突入していく中で
ロシアのSDR引き出しは差し止めをされそうです。
個人的には数週間前ぐらいまではSDRがあるので
デフォルトにはならないのではと予想していましたがそれらの前提が
この2週間で覆りつつあります。
ロシア国債もわずか1ヶ月で80%以上も下落という歴史的に見ても
ここまで短期間でデフォルトの危機に陥ることになった国は
ないのではと思い恐ろしい限りです。
自分も10年以上ロシアETF を保有しており昨年売却していたのですが
1年遅れていたらと思うと冷や汗が出ます。
ロシアの今回のリスクは誰にも予想できなかったカントリーリスクであり
それほどプーチンの決断は誰もが理解できない愚行とも言え
100年後ぐらいの世界史の教科書に第3次世界大戦の項目が
書かれてないことを祈りたいです。





