2月27日はドミニカ共和国の独立記念日。

1844年に、建国の祖であるフアン・パブロ・ドゥアルテ

に率いられた革命軍の手により隣国のハイチから独立を

勝ち取った祝日として知られています。

そして前の週あたりからドミニカ中の幼稚園や小学校では子供たちが

添付のようなドミニカ共和国の国旗であるトリコロールカラーの

仮装をしたりしてイベントが行われたりします。

 

 

 

 

 

2年前のコロナが起きる前の独立記念日での出来事です。

娘が通う幼稚園のイベントで子供達の両親が招待されて皆の前で

ドミニカの国旗の色などで仮装した男女の子供達が

ペアをつくりダンスをするという催しがありました。

 

その時に娘とペアになったクラスの男の子は今、世界大戦

にも突入するリスクをもかかえているウクライナ人の男の子でした。

とても優しい子で、ショーの前に娘に「君の両親、うちのママと

一緒にあそこにいるよ」と指さしていたり、ダンスが始まり

恥ずかしがってなかなか踊れない娘を一生懸命リードしてくれたり

したのが微笑ましい光景で今でも我が家では良い思い出です。

 

その後、その子の家族は昨年に家の事情で祖国のウクライナの

首都であるキエフに家族で帰国してしまいました。

そして今、そのウクライナが

ロシアから侵攻されて世界大戦が起きる可能性も取りざたされる

ような危機に面しており心が痛みます。

そして強い怒りを覚えます。

 

 

 

 

当初ロシアの軍事行動を威嚇の段階で終わり、本気で軍事行動を

すると考えていた国はありませんでした。

ロシアはプーチンが発するプロパガンダ戦力により世界の多くの

国は軍事に強い「強国」のイメージを連想する人が多いのですが

軍事力というのは経済力に比例するものであり、ロシアの経済力

はNATO を束ねる米国の20分の1でしかありません。

(NATOは旧ソ連に対抗するためにアメリカとイギリスが

中心になり結束をした軍事同盟)

また経済は今後将来性のない原油という商品に多くを依存しており

経済力が強い国とは言えません。

「軍事力」というのは「経済力」そのものなのです。

 

 

ウクライナの問題が起きた時、当然のように

ロシアのマーケットの中で多くの商品が暴落して

安値になりました。

そして投資家達は

「(経済の弱い)ロシアは脅しだけで侵攻しないはずなので

商品の購入に踏み切っても大丈夫」と判断していた人たちが

多かったですが彼らの判断はプーチンによる

電光石火の軍事行動により完全に裏目に出ます。

 

ロシアのプーチンが軍事行動に動く決断をすることが

できたのは当初の世界各国からの経済制裁が極めて弱い制裁で

あったからです。

この時の形だけに近いものだった経済制裁の対応がプーチンを

思い上がらせ、軍事行動に突き動かしてしまいました。

 

これは奇しくも第二次世界大戦を誘発する出来事であった、

ヒトラーの軍事行動までの経緯ととても似ています。

当時ドイツの独裁者であったヒトラーはドイツの支配圏を拡大

するためにオーストリアを併合、その後チェコスロバキアへ

攻め込みますがその際に開かれたミュンヘン会談に出席した

イギリスの首相チェンバレンとフランスのダラディエの「宥和政策」

(=ヒトラーのご機嫌を伺いドイツに対して甘くした政策)は

逆にヒトラーをつけあがらせ、その後のポーランド侵攻、

そしてついには第二次世界大戦につながっていくのです。

 

プーチンがウクライナに侵攻した後ですぐにゼレンスキー大統領と

会談を持とうとしたのも当然これ以上の軍事費を使い込むのは

ロシアの財務状況からしてもリスクと判断したからでしょう。

最初に一発ウクライナを恐怖に陥れた所ですぐに停戦に持ち込まないと

戦争が長引けば今度はロシアの財務に火がついてくることは

明らかだからです。

そしてゼレンスキーもその状況を察する形でロシアの足元を

見て強気の発言に出てしまったことが逆に裏目に出ます。

僕が個人的に残念だったのはゼレンスキーが「国家総動員令」を

発令して成人男性の出国を禁止したことです。

「国」というものがその権力を発動して個人から自由を

奪ったことでこれにより多くのウクライナの家族が分断されるわけです。

1人の民が「国家」のために命を犠牲にしたり人生を

捧げる時代は今の時代とは逆行していると感じます。

「国家」は独立戦争を勝ち抜いた米国やフランス革命後の

ナポレオン戦争という人類史では「ごく最近」そして「偶然に」

「愛国心を共同幻想として作り上げるのは

兵隊を安く調達できるのに良い方法だ」と

気づいた人たちが作ったシステムであり、今は仕組みとしても

コンテンツとしても少しづつ少しづつ「国」の制度はその役割を終えていく

時代の変遷において21世紀的ではないな、

と感じた場面でした。

世界的にベストセラーにもなった「サピエンス全史」にも

書かれていますが「国」というのは何か国という物質がある

わけでもないですし、実質的には存在しない

ものであり、愛国心を幻想として人工的に作り上げることで

戦争をするためのお金がかかる外部の傭兵を雇わずに自国民で

兵隊を調達することを目的として作られたものが「国」であり

「国家」というシステムの本質だからです。

 

さて週が明けて今度は世界中がSWIFT からロシアを排除するという

「超」強力な制裁に出る形で各国が足並みを揃えてきました。

これにより何が起こるかというと単純にロシアから海外送金をすることも

ロシアにすることもできなくなるわけです。

 

ただこれは完全に世界中の国にとって諸刃のツルギとなります。

現在の世界経済はすべての国がつながっているわけです。

 

ドミニカ共和国も中南米の中で

ロシアとの繋がりが強い国のひとつと言われており

航空便のドミニカ共和国への到着便数は1位の米国に次いで

2位は実はロシアの首都であるモスクワからの便です。

当然ロシアマネーとの繋がりも強くてウクライナへの侵攻が

あった時点でドルとドミニカペソの為替が2ペソ近くもドル安に

動くという異例の事態になりました。(投資マネーなどで

ドルを持っていた在住ロシア人たちがドルを一斉に売ったり

したため。数年前からロシア人達はSWIFT を避けるための

送金ルート構築を常に模索しており、そのために

カリブ海の中でもドミニカ共和国や隣国のプエルトリコでは

多くのロシアの要人達が行き来してきた背景があります)

過去40年のドミニカ共和国の為替史を観察していても

ドル高はしょっちゅうありましたがこれだけ動いたドル安は

初めてのケースです。

 

ドミニカ共和国のような小国ですら影響があるわけですから

今回のSWIFT からのロシア締め出しにより金融市場は

週明けからより多くのリスクにも晒されてしまい

各国にとり好ましくない結果も出てきてしまうのは間違いありません。

SWIFT からのロシア排除というのは長期で行うのは実は

無理がある制裁なのです。

 

そしてロシアに住むロシア人達も海外に住む家族への仕送りなどの

送金が凍結されるわけですから誰もプーチンへの支持はしなくなる

のではないでしょうか。

一線を超えてしまった独裁者が今後も政治の表舞台に立ち続ける

ことができるのかどうかが注目されます。

 

 

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戦争は指導者が望んだ時に始まるが望んだように終わる

ものではない

 

マキャベリ著「フィレンチェ史」

 

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