ドミニカ共和国でも10月に入りまた少し

感染者数が増え始めてきたことから

政府も新たな政策の実施をスタートさせました。

具体的には公共機関、飲食店などに入る際は、マスク着用の義務化に加えて

2回のワクチンを接種したという証明書を提示しないといけなくなるようです。

 

8月に所用でニューヨークを訪れた際にドミニカに先立つ形で

ちょうどこの施策がニューヨークでも開始された時期で

うっかりワクチン証明書の持参をせずに飲食店の入店を断られそうに

なったことがありました。その時はたまたま携帯にワクチン証明書の写真を

保存していたことがあり入店を許されましたがドミニカ共和国でも

同じようになるのかなと。

 

ドミニカ共和国でも2回のワクチン接種は60%の接種率に

まできたものの米国同様にその後、接種率が高止まりしています。

ワクチン接種を拒む人がドミニカでも

一定比率はいますので政府もワクチン接種にインセンティブを与え始めたのかなと。

行動政治学としては国の課税や求める行動に対して

何らかのインセンティブをつけていくというとてもオーソドックスな施策です。

インセンティブは何ヶ月か前からはワクチン接種者に対しては

主に地方を中心に食料などを配給するというプラスの

インセンティブ施策がまず行われました。

今後は接種しない人に対しては何らかの行動が制限されるという

マイナスのインセンティブを作用させるという流れです。

(行動の制限=飲食店などへの出入りが制限される)

 

行動経済学の世界では「合成の誤謬」という言葉があります。

ワクチン接種を拒んでいるクラスターは様々なリスク意見を持っているもので

最終的には自分が接種しなくても周囲の接種が進めば自分への感染リスクも下がるという

自己の利益や合理性を追求するものでそれ自体は(個々で見た場合には)

正しいのですが、個々が合理性を追求した結果、

世界全体のワクチン接種率は進まなくなるために「全体的には非合理」

な方向に向かいます。

この合成の誤謬を解決するために、政治では国が求める行動に対して

「インセンティブ」をつけるというわけです。

今は多くの国がそのフェーズに来ているのかなと思います。

日本はまだそこまで来てないので11月ぐらいにはインセンティブのフェーズに

入れれば追いついてくるかなと予想しますが岸田政権には総選挙が

控える中でタイムスケジュールはとても読みづらいですね。

 

ただ大事なのはそれでもコロナウィルスの「根絶」はできないという

事実をきちんと世界が理解した上で各々の国が早めに

「コロナウィルスと共存する」フェーズに入れるかどうかかなと。

ワクチンが進んでもウィルスは増加するケースはありえるわけです。

冬の乾燥した時期であればウィルスの活動は進むのでなおさらです。

天然痘は根絶されたとはいえエドワード・ジェンナーが世界初の

牛痘のワクチンを発見してから、天然痘の世界根絶までは

200年近い時間があるわけです。コレラやインフルエンザやその他もろもろの

ウィルスなどは現在も当然存在しながら人類と共生しているわけです。

 

コロナに関しても最終的なフェーズはワクチンを進めながら、

ブレークスルー感染をした場合の重症度を下げたり、ブレークスルー感染を

した場合の軽症者についての処方のやり方を増やす(例えば

今、日本でも取り組んでいる飲み薬の使用)、また治験を進めながら

今後はすべての世代にワクチンの有効性と安全性の治験を進めていく

という取り組みをしていきながらのコロナウィルスとの共生と

経済の平常化です。

 

メディアは現在のネットの「アテンションエコノミー(過激な報道により再生回数や

視聴数を稼ぐやり方)」が全盛の中で、ブレークスルー感染について

重症者やそれによる死亡者が出れば際立つ形で書き立てるために

上記の共生をするというフェーズに進むのが間違った方向でいかないように

願いたいです。