8年弱という戦後最長の長期政権を築いた安倍政権の終焉には海外
メディアも速報で報じており菅総裁による新政権が誕生しました。
来月に行われるであろう衆議院の解散総選挙でも自民党優勢
という中で菅政権が長期政権になる可能性も高まっています。
日銀の白川総裁が開始した金融緩和を推進する発表は
安倍政権が開始される前の2012年には地球の裏側にいても
何度となくロイターや日経から見ており、その度に注視していました。
ただ当時はそれでも為替の動きや株価は期待ほどではない状況が
続いていましたがそれでも「そろそろ日本で転換点が近い」
という内容を書き立てるコラム記事がブルームバーグの米国版などでも
続いており、注視していました。
2008年の金融危機ー戦後最大の円高で
株価も低迷状況を続けていた当時の日本ですが、
その中でじっと注目して見ていたのは
当時の自民党(安倍政権)がかなり明確な
インフレターゲット(当時は2%前後)公約として掲げて
おり、大規模な金融緩和と経済(株価)回復を重視して
いたことです。
政権が開始、その後2012年の12月には再度日銀から具体的かつ強力に
金融緩和を推し進めるという発表があり、そこから日本や世界の市場が
大きく動き出したのがいわゆる「アベノミクス」です。
この数年の変化は戦後の日本経済史の中でも
とても大きなものでした。
一方で安倍政権が行った大規模な金融緩和が日本の将来(50歳
から下、そして特に子供世代)
に大きく影を落としたのは確かでしょう。今の日本で子供を
育てるのであれば「海外」に対しても選択肢として
免疫はつけさせが方が良いのではと思います。
大規模な金融緩和と増税は表裏一体です。
増税するというと大多数の日本人(や海外メディアも)
厳しい反応を見せます。
例えば先日の某ニュースで今回の新総理候補だった
石破、菅、岸田さんの経済討論の際に「消費税の増税は必須か」という質問で
唯一「yes」のプレートをあげてしまった菅さん。その番組を自分も
ネットで見ていましたが明らかにその時に「しまった」
という顔をしましたが、翌日にはそれが大きなニュースになり、
世界のニュースとしても速報で次総理に最も有力な
「ミスター・スガ」が日本で増税は必須であるという発言をした
というニュースが世界を駆け巡りました。
増税は大きく国民にネガティブな反応をされますが
大希望な金融緩和というのはそこまでの反応はありません。
ただ金融緩和というのは借金を増やすので
つまりは「将来の増税」、現在の消費税増税を少し未来に先送りする
というのが本質です。もちろんプライマリーバランスを考えた際に
税率が増えなくても1)全体の経済のパイが増えて、2)かつ企業で
いう所のコスト、つまり歳出(社会保障費用など)が減るなら
増税しなくても乗り切れる可能性はありますが、この国の抱える
もはや病巣とも言える大きな問題はこの1と2です。
長期高齢化社会に突入している日本では2は増えていくのは
必須。そしてそれを補うための1の歳入、つまり民間企業で言う所の
「利益」を上げることについては日本の場合は様々な規制(先進国
を代表する、というか世界を代表する規制大国が日本なのです)
や既得権益が邪魔して今は望めない状況で日本國という身体を
蝕んでいます。1)の経済のパイを増やすには単純に
人口を増やすというのも手段の一つですが、これも少子化の
上に外国人の受け入れもハードルを下げないので、
期待できそうにありません。
つまり今の日本は打つ手がない状況が続いているということです。
経済のパイを増やすための新しいビジネスが生まれる目が出始めても、
ほとんど規制につぶされてしまいます。
世界でUberがここまで走ってない国はもはや日本
ぐらいではないでしょうか。クレジットカード、電子マネーが
ここまで普及してない国も希です。一時帰国すると現金や小銭
持ち歩くのがすごく不便に感じます。
このような多くの病巣が生んだ結果、何が起きているかというと
恐ろしい出来事が起きていて、それは30年近くも国民の所得が
増えてないということです。それで増税と物価上昇は続いてきた
わけなので生活が苦しくなるのは当然です。
そしてこの状況がおそらく次の30年もこのままだと間違いなく
続くというか更に状況は悪くなるのが現時点から決まっているわけです。
国民所得の世界的データを比べると世界の国で30年、
所得が増えてないという国は独裁などをしていた国を除けばほぼ皆無です。
たまにこちらの金融関係者と話すと、このことはよく話題になり、
欧州や新興国なら毎年暴動が起きていても不思議ではない
レベルの話だよね、と。
日本がこのように貧しい国になっていっているという感覚は
海外旅行に出るとよくわかり、よく言われるのは海外での
外食でしょう。例えば欧州などに旅行に行き外食をするとおそらくどこも
「高いな」という感覚を持つと思います。欧州や海外の国の所得が
30年で上昇している中で日本人の所得が上昇してないので
高く感じるのは当然です。
もう一つ分かりやすい例を出すと海外駐在や留学の例です。
特に駐在は日本の所得が上がらない中で、
他の国の所得が何年間で上昇してくると、海外に出た時に
30年前に比べてもそこまでのプチ贅沢ができなくなって
くるわけです。
このように海外と比較した時に日本の現状はより「リアル」に
わかってくるのではと。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
ジムロジャーズ著
「危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来」
現代貨幣理論の中で大規模な金融緩和は
自国の通貨(自国の国民)で国債をまかなっている
国はハイパーインフレにはならないので大丈夫とというが
これはレストランが無料でランチを配り歩いているようなもの。
一時的には良いが後から(後の世代が)必ずそのツケを払わされる。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
