ある客先で数年前にビジネスをしていてその後空白期間が
あったのですが1、2年ぐらい前からチョコチョコと
こちらに連絡をくれる客先がいました。

ただその際にこちらから話しを進めようとするとなかなか話が
詰まりません。そこで一呼吸おいて様子を見ていると
しばらくするとまたうちのスタッフや自分にコンタクトしてくるということが
3回ぐらい続いていました。

今年の春先にまたビジネス機会がありましたのでその客に話しを
持っていくと向こうもタイミングが良かったのか一緒にやろうと
話が盛り上がりました。
雰囲気的に今度こそは行けそうかな、と内心思っていましたが5月のGWを過ぎても
またいろいろなことで話しを引っ張られます。

こういう事はドミニカ共和国の商売ではとてもよくあるケースですので
これだけでしたら何て事はないのですが(大体ありがちなのは資金的な問題)
今までと異なるのはその「表情」です。
何年も一人(もしくは複数)の人間と正面から向かい合い交渉の話しをし合う
という経験をしていると独特の商売カンが身についてくるものです。
「何かがおかしい」のです。

話しはとても積極的で必ずこちらと商売をスタートさせたいということを
強く言いますしまた向こうからコンタクトを積極的にしてきた
経緯などから考えても普通は雰囲気は良くなるはずなのですが表情が
とても毎回硬い。特にこちらから「詰め」の話しをしようとすると
どこか不安がった感じの表情すら浮かべます。
「理由は分からないけど、これは良くない流れだな」と内心思っていたのですが
こちらからその雰囲気を
出すわけにはいきませんので努めて前向きにとにかくリラックス
させるように話しを一歩一歩進めていました。


この客が難しいのはこちらに必ずビジネスはスタートさせるという
意思だけは示してきつつ、こちら側にはスタートさせるための
全ての準備を求めてくるので
詰めをしつつもこちらも準備を万端にしておくために
関係各所の作業も発生していました。
そうやっていろいろな人に動いてもらっていますとそのビジネス話しを
簡単に「流してキャンセル」ということがしづらくなります。
例えばある大きな会議を企画した場合にその会議の準備のために
場所の提供者と打ち合わせ、関係各所との調整など様々な作業が発生した
後でドタキャンが起これば多くの人に迷惑がかかるのと同じというと
イメージしやすいでしょうか。

そういう諸々な背景がありつつも一応今月になり話しはようやく
詰まり終えて、いよいよ今日は締結ということになったので
「いけそうでいけない読みづらい展開だったけどどうにかなりそうで
良かったかな」
とか思っていたものの、「ようやく今日」というまさにその当日に
ある不可抗力の事故が発生します。不可抗力でしたので当然予想の範囲外です。
「不安が的中したな」と思いつつもすぐに相手を訪問して
「今回どうするつもりなのか?もうこちらは準備は全て進めていて
ビジネススタートするだけのつもりで今からキャンセルはさすがに困る、
大勢に迷惑がかかるよ」という話し合い。
今回は不可抗力なので相手に非があるものではないと分かってはいるもののどうしても
負の連鎖の巡り合わせというか最初から起こりつつ起こった出来事のような
疑問が拭えません。
救いだったのは客先もこのタイミングでキャンセルをすればかなりこちらに
迷惑がかかるということを理解してくれており向こうとしても何とか
解決策は考えたいが、、という意識はかろうじてあったことです。
ただ相変わらず表情は硬いまま。自分としては
「いずれにせよこの表情のまま話し合いをしたらこの話しは
もう無理だな、この相手の空気を何とか変える方法はないものだろうか。。。」
長年の経験が自分自身に再度語りかけます。

訪問した際に向こうとしては
こちらにいくつかの再開のための追加条件
を提示しつつも今回はこちらもビジネススタートの
ための準備に努力してくれたのでキャンセルせずに何とかしたいという
話しをしてきましたがそこで彼が最後にポロっと口にした言葉は
意外なものでした。

今回のビジネスでは「前回」のようなことがないようにしてほしい。
あの時は嫌な気持ちがしたものだ。でもSKとはビジネスは常にしたい
気持ちがあったけど。。。

「前回のこと」。それはもう5、6年以上前の出来事だったのでさすがに
自分の記憶から風化しつつあったのですが彼の当時の話を聞きながら
この時の記憶が少しづつ呼び起こされました。
彼との「前回のビジネス」はこの客側にもいろいろ問題があり7、8割ぐらいは
向こうが悪かったのですが最後は少し自分も嫌気がさして後味が悪い
終わり方をしていたのです。特に最後の方は自分も彼の正当な要望を聞き入れずに
断っていたのを今でも客先側は忘れていなかったのです。

まさに相手の胸織りが開いた瞬間、
「このタイミングしかない、この次で空気を変えることができないと
もう無理だな」
特に新規の立ち上げの交渉というのは必ず「大きな流れ」
というものがありその流れがこちらに傾くのをジッと待つ場面があります。
経験が浅い交渉人は流れが悪いと慌ててしまいここで必要以上に自分を大きく
見せようとしたり、また「相手が分かってない」というような
言い方をして威嚇的な態度をとり自滅していきます。
こちらに分があると思っていても最後の判断はあくまで相手あっての
ものなのです。
だからここで我慢できるかどうか、もちろん我慢してもうまくいく
保証は何もないのですが、それでもここは担力が大事になります。

そして大体は一瞬しかありませんが相手の心が開く瞬間、
そして「その流れ」が来た時に見逃さないこと、
そして土足ではなく靴をきちんと
揃えてできるだけ素早く相手の懐に入っていく、
そういう話し合いが必要になりそのために大事なことは「相手に伝える」力
なのです。「流暢に話すこと」と「相手に伝えること」は完全に別の
話しといっても良いと思いますし後者は本当に難しいのです。

大事なことは相手に本音を言ってもらった以上は必ずそれは正面から
受け止めること、大人になるに従い身につけていく
表面的な話し合いができる力はここでは通用しません。
ある程度自分をさらけ出して話す勇気や相手をきちんと受け止める
思いやりなどが重要になりますしそれができないと
完全に逆効果になります。
客先というのは自分のお金がかかっていますので
本当にこちらをよく見ているものなので
「この相手には伝わらない」と思えば
2度と本音を話すことはないのです。
誰でも嫌な思いはしたくないからです。

本音をつたえてくれたことにお礼を言い、すぐに対応にも動いたので
当時のわだかまりは完全に払拭できました。
別れぎわに彼が時折見せた優しい表情と目は今でも鮮明に覚えていますが
それはある種の安堵感かもしれません。
その後、彼の奥さんからの後押しもありすぐに次の日に交渉が締結しました。
あれだけ時間が長引いていた交渉ですが最後は一瞬だったのです。

交渉というのは「人」が相手でありまた多くはお金が
かかっていますので相手も必死、それ故に奥が深くマニュアルが
作れないのでそこが難しくもあるのですが相手の琴線に触れる話し合いができた時、
「あぁ、こちらの気持ちが伝わったんだ、、、」と
思い商売抜きでどこか嬉しくもあり、そういう時は良い仕事に
巡り会えているなと思ったりもします。





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