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8月に入ってからトリニダード・トバゴに来ていました。
赤道に近いこの国は午後になると突然のスコールに見舞われる毎日で
2,3時間ほど強い雨が降った後で綺麗な虹が出る。
これは雨上がりの写真。

地球の裏側にあり人口もわずか150万人にも満たない
この小さな島をを初めて知ったのは「ロビンソン・クルーソー」
でした。

イギリス人ダニエル・デフォー著の
有名な「ロビンソン・クルーソー」、
1719年に世に出たたぐい稀なこの漂流記は爆発的なベストセラーと
なり数世紀を経た今でも世界中で読まれていますが、
このロビンソン・クルーソーが
流された舞台となった島がこのトリニダード・トバゴ島と
言われています。

興味深いのはこのイギリス人の著作がトリニダ、トバゴ島からバルバドスを
はじめその付近のカリブ海の島々を舞台とした漂流本としてまとまっている
ことです。
当時のカリブ海の島々はイギリスをはじめスペイン、オランダ、フランスと
島の領土をめぐり強力な覇権争いがありました。
当時のイギリスから見た小アンティル諸島(カリブ海の島々)は
この本ひとつから見ても興味関心の高いエリアだったと想像できます。

ちなみにイギリスが最初に制圧&領土としたカリブの島はセント・キッツ島だったと
言われていますが
セント・キッツにいくと「Bilmstone Hill」と呼ばれる世界遺産にも
登録されている巨大な要塞がありスペインやオランダと繰り広げられた
覇権争いの後を見ることができます。

http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/59899785.html
(Bilstone Hill その1)

http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/59899838.html
(Bilmstone Hill その2)


カリブ海では世界の経済史の中でも一大中心地だったと
言われる時期があるのですがそれがコロンが黄金を見つけるための
旅に出た15世紀ー16世紀と
そして17世紀になり世界の一大産業となった
「砂糖」の生産と輸出。
インドでイスラム教徒の手で栽培をはじめたのが起源と言われる
この「白い黄金の粉」と呼ばれる嗜好品はヨーロッパ人に
よりトリニダ、バルバドスの島々で最初に栽培が行われたと
言われている。
その後に欧州の砂糖ブームが生まれて
今でもジャマイカ、バルバドス、セントキッツをはじめとして
この砂糖産業で大きな富を得た地主達が持つお城が
観光地としても見ることができます。

(ジャマイカ・ローズホールグレートハウス)
http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/39228917.html


砂糖産業で世界を席巻したトリニダは
その後、数世紀を経て今では石油・天然ガスの産地であり
石油と天然ガスでGDPの40%、輸出の80%を
占める有数の資源国となっている。
トリニダードにはカリブ海で唯一の証券取引所TTSEがあり
資源株については世界的な資源供給不足が続いている
中で活況を呈しておりトリニダも後、6,7年はこの
天然資源で潤うのではと予想される。
(ちなみにドミニカ共和国でも公認の株式市場が2つあますが
現状は債券のみの取り扱いでドミニカ会社の株を
公募で買うことはできない)





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トリニダの郊外を車で走るとカラフルな家々が並んでいる。
あの家はどういう家なのかと聞いてみると政府により
郊外の人たちに低金利で貸付により渡された家々だそうですが
選挙前の政治目的な色合いが強いとかでその後、
1年が経ち金利があげられて逆に返済ができなくなる
人も現れるなどで大変不評なのだそう。

トリニダードという国は来る度に政府の関与がとても
強くて将来性については???なイメージが強い。

上記にも書きましたが資源国ということで世界的な資源不足もあるので
後、6,7年、2020年ぐらいまでは資源の堅調な
伸びに支えられて伸びていく気がします。
ただ長期で見たらトリニダは政治的な問題をまだ抱えているのではという
気持ちが来るたびに強くなる。

http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/62862392.html

以前にトリニダに来たときも書きましたがイミグレーションに
かかる時間が悪評高い米国の倍ぐらい長くかかります。
イミグレーションで時間をとられて、その後の
カバンのPick-Up場所でも相当の時間をとられて細かく審査
される。政府のイミグレーションや税関への審査は
社会主義国なみです。

ビジネスに対しての規制も他の国に比べると
とても多い。今回もひとつの考えれない政府の規制問題に直面して
半日を費やすことになりましたが
政府の関与が強く規制も多いせいで資源に続く産業が
育ちづらい土壌があるのがこの国の長期で見たときの
弱点だと思う。

またトリニダは去年に政府による規制で夜の21時過ぎの
外出禁止令なるものが出て話題になった。
タイミング悪くその時にちょうどトリニダに来ていたのですが
空港に夜到着してホテルまでタクシーで向かう時に
人ひとり外に出てないので「誰もいないゴーストタウン。
この国は大丈夫なのだろうか」
不安になったのを覚えている。
当時の禁止令の最中は警官隊による個人への家宅捜査も行う
ことが強制されるという異例の事態だったとか。
家宅捜査まで行うというかつての1960年代の
中国の紅衛兵並みのチェックに驚いたのを覚えている。


実際に天然資源が堅調とは言うものの天然資源では
全体の5%の雇用率しか満たしていないそうです。他に続く産業、
たとえば米などもグアテマラを始めたとした中南米
からの輸入に頼っており農業や他の産業を
育成していく土壌があまりないのが問題となっているそう。
政府はNGCなど天然ガスの国営企業から入る収益を維持した
後にそれを将来のトリニダの新事業を育てるためにそのお金を
使うのか、かつての様々な中南米諸国の政治家がそうしてきた
ように自らの懐を肥やすことに使うのか、トリニダの
ここ3,4年の動きが注目されるところだ。

歴史的に見て一国の国が栄えていくには共通点がある。
それは政府が市場を開いて規制をできるだけ少なくする、
そして海外からの資本を適切に呼び込み、新しい産業を
育てる。これが適切にできている国の将来性は高い。
「我々は石油、天然ガスに強い国だ。でも今はいいけど将来
永続して伸びるわけではない、だからトリニダ国民の皆さん、
協力して知恵を貸して欲しい、国はそのための協力は惜しみません」
もしトリニダ政府がこういう姿勢であれば問題は無いが
政治家の態度はいつも同じで目の前の票集めにのみ奔走
してしまう。

海外からの投資にもまだ消極的だ。
異質な人種、異質な文化が入るのは誰でも最初は
怖いものだ。変化はできればしたくない。
それでもそのやり方で新しい産業が生まれ、
様々な異文化が混在してやがて独自の新しい文化、産業が
根付いていく流れがあり、そういう国が繁栄していくのは
歴史が証明している。
仮に変化していくこと嫌ったとしてもその流れを変えることは
誰にもできない。
世界の歴史で覇権を握った国、一大中心として
栄えた国には多くの共通点がある。
アメリカ合衆国もかつては移民の国だった。
ローマ帝国はシルクロードの起点として交易により
多くの文化が通り過ぎることで栄えたし、
西地中海のカルタゴも交易のルートを作り外国商人が行き来
することで栄えた、
オスマントルコもその地理的な環境により
中央アジアとヨーロッパの通り道として多くの異人種が
通り過ぎることで栄えて独自の文化を生み出した国だ。


このように様々な課題を抱えつつも
現在のトリニダードは上記にも書いたが資源国である
強みを生かして後、数年は好調な市場情勢は続くと予想している。





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トリニダの学校を見学しました。
トリニダの教育水準はラテン諸国では高いほうだと思う。
小学校(初等教育)7年、中学5年までは無料で学校に通うことが
できるからだ。この日はちょうど算数の授業をしていた。
倍率の高い試験を受けないといけないが望めば誰でもカレッジまでも
いくことが可能なのだとか。







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トリニダに来るといつも日中はバタバタするため食事はジャンクフード
で済ませることもある。この日はトリニダの代表的な
ジャンクフードのカルタ。






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トリニダの夜は「大人の事情」で3日連続の同じ中華料理屋。
この日共にしたのはキリスト教の旦那さんとイスラム教の
奥様という珍しい組み合わせ。
トリニダはアフリカ系、インド系、ムスリム、華僑など
様々な人種が混在している国である。

世界の多くの地域はいまだにキリストとイスラムにおける
紛争が続いている地域が多くありますがこのようにお互いを理解しあい
結婚にいたる方たちももちろんいます。

宗教の問題で紛争がおきるということは
宗教に対して比較的に非干渉、無関心的な我々日本人には
考えられないですが世界にはキリスト、イスラム、ユダヤ、
ヒンドゥーなどその宗教観をめぐる対立は
多い。
アメリカではかつての政治史でカトリック教徒が大統領となったのは
ケネディだけです。カトリック信者の場合はイタリアのローマ
法王との忠誠感の問題が出てくるから。
政治的な判断になった場合、
ローマ法王の意向を優先するのか、アメリカ国民の国益を優先するのか
あなたはどちらなんだ、と言われてしまうのです。
それなので正当なクリスティアンであることが重要になってきたりするし
アメリカの大統領選挙が始まると必ず話題になるのが
妊娠中絶と同性愛の問題だ。
この2つの問題はキリスト教徒の教えに反するということで特に共和党が強い
南部での選挙戦を戦うのにダーウィンの進化論を
どう解釈するかという事と並ぶ大変重要なポイントだそうです。

日本でも少し前に元総理大臣で麻生太郎がいましたが彼は
正統なカトリック信者ですが選挙の際にもちろん日本では
話題にもなりません。
これがアメリカなら大変な議論に発展しているでしょう。

他国の人々と食卓を囲むと日本人の宗教感について問われる
機会は大変多い。これは日本人である自分には最初は
なかなか理解しづらい部分でしたが世界の宗教と人種を理解する
に従い、なるほどと思う部分が多くなりました。