ドミニカ共和国関係で仕事をしている
知り合いの方から下記のメールを頂きました。
非常に優秀な方でいつも多くの示唆を与えてくれるのですが
この日のテーマはビジネスにおいても非常に重要な
ドミニカのペソ通貨。
以下、引用。



ドミ共のペソ通貨は対ドル、市場で相当に過大評価されている
のではないか、というかねての私の推測を裏づけるために別添
のような試算をしてみました。一般物価はドルで見てやや高い
感じがします。しかしどうみても変なのがドミ共のドル換算GDP
額467億ドル(中銀発表数字、人口1,000万として1人当り4,670
ドル)。ハイチの9倍くらいになる5,000ドル近い一人当たり所
得は本当にあるのかな、と思います。

1989年末の為替レート6.35ペソ/ドルを基準にペソ・インフレ
率を掛け、それから米ドル・インフレ率を差し引く(割り引く
=ドル自身のインフレを除去)やり方で過去20年間について本
来、あってしかるべき対ドル為替レートを計算してみたところ
、興味深い結果がでました。2009年末現在の実勢レート36.16
は本当は64.83あっても理論的にはおかしくはない、という結
論です。つまりペソは44%以上も切り上がっていて、これを64.83
に戻すにはペソは市場で79.29%切り下がらなければならない
という理屈です。

この「適正レート」に従えば「適切な」GDPは464億ドルではな
くて、259億ドルになる。1人当り2,590ドルということになり
ます。ドミ共経済の実力からしてこの辺りが適当ではないかと
思います。
但し為替レートは変動相場のもとでは実際には市場が需給で決
めることなので実勢レートが間違いとは言えません。規制のな
い開かれた為替市場に自由にカネが出入りできる仕組みを政府
が整えている。つまり出口を塞がないので資本が潤沢に入り国
際収支の均衡が保たれペソは市場で大幅な下落をせずに高い価
値を維持しているのだと思います。




2カ国の為替の現在と将来の動きを予想する理論としては
いくつかのやり方があると思いますがこの方から教えていただいた
理論はある年のレートを基
準に、そこから通貨の下落率(インフレ調整)を掛けてゆく。
そして一方のドル自身もインフレで下落しているのでその膨ら
んだ部分を除去し一定の不変の価値のドルに対してどのように
ペソが下落(減価)してゆくか、あるいは増価するか
ということだそうです。

非常に有益な見方で実質的にドミニカの経済を見ていく上でも
分かりやすい値という印象でした。
ただしこの方も言われているとおり実際の為替は変動相場で
ありますのでドルとペソの2カ国間の需給の問題で
様々なファクターが加わります。

為替と現在の実質的な通貨の値を読み解く方法は他にも3つほどありまして

①購買力平価説
②国際収支の均衡
③アセットアプローチ



(購買力平価説)
自分が一番よく把握していたのは購買力平価説でしたが
これはUS$1=90円の場合に日本で90円の品物を米国に
もっていけばUS$1の価値があるという意味のもの。
よく使われるのが世界中に店舗があるマクドナルドの例で
特にビッグマック購買力平価という言葉が有名。
各国のビッグマックの価格を比べて現在のレートが適正値かどうかを
見るもの。

今の為替は90円=US$1=RD$36(ドミニカペソ)
なのでRD$36=90円ということになりますので
RD$1 / ¥2.5=¥1 / RD$0.4

たとえば日本でビッグマックが250円、ドミニカで100ペソであるなら
250円÷100=2.5で¥1/RD$2.5となる。

何が分かるかというと仮に上記ぐらいの数字であれば実質的な
ペソのレートは現在の値よりかなり弱いことになる。
実際の日本とドミニカのビッグマックの値段は調べたことがないので
分かりませんが自分の感覚からしても
確かに現在のペソは高く評価されすぎている印象がある。

ただしこの購買力平価説も完全に正しい算出方法とは言えずに欠点が
ある。短期の為替レートなどは特に他の様々な要因が影響するし
また輸出においてどちらの国が黒字か、また各国の準備金や債務の問題など
も当然為替の評価対象になる。



(国際収支の均衡)









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