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”Mi vida no funciona ( 私の人生はもう駄目よ)”
とある日言われた。

知り合いであるドミニカ人からのこの言葉は僕の胸に突き刺さった。
自分の人生が ”no funciona " と言わなければならない。
こんなつらいことはない。

ドミニカ人であるこの女性は大学生ながら成績は学年でTopに立つほど
優秀でドミニカ人とは思えない聡明さと誠実さの持ち主だったので
周囲からも一目置かれていたし彼女のことを悪く言う人を聞いたことがない
ような人物だったが幼い頃に両親が離婚していたので
経済的には恵まれた環境ではなかった。
(ドミニカではすごくよくあること)
彼女は種々の理由で大学を辞める寸前だった。ドミニカで大学を出れないと
その後の人生は相当厳しい。日本のイメージする厳しさとはわけが違う。

もちろん知り合いのこの娘は経済的な援助など誰かに求めたりはしないし自分も
例え知り合いでもそれはするつもりはなかった。
ただ僕はそんな彼女によく商売の話をしていた。そして少しづつで良いし
最初の1歩としては1ペソでもいいから自分のアイデアで何かお金を稼ぐ努力をしてみると
世界が変わるからと教えてあげた。お金は概念で一過性のモノにすぎないので
仮に援助をしても自分がもしドミニカからいなくなればその後、またお金の問題が起きる。
だけどお金の稼ぎ方を覚えればそのアイデアは一生、お金を生み出してくれる。
彼女は優秀だったけどそれ以上にエラかったのはすぐに実行に移したことだ。
彼女は手持ちの資金のRD$3,000(日本円で¥8,000ほど)という
小さな資金から洋服を販売する商売を始め、周囲の人脈に恵まれていた彼女は
すぐに販売を軌道に載せた。

彼女の商売はクリスマスシーズンも作用してこの2ヶ月ぐらいで加速度的に
商売を増やしていき余剰資金も少しづつだが増えてきた。
そんな彼女に次のステップとして3ヶ月計画で
数字を出して客観的に自分のポジションを見るように薦めてみたが
先週末に3ヶ月先物計画をPCで作成してきて
「このまま商売が増えていけば4月を目処にパナマへ服の買い付けのための
海外出張に出れる可能性が出てくるしそれを目標にする。そして2年後までに
自分の店を持つ」と具体的な目標を持ち始め今週にパナマの大使館にVISA取得の
要件を調べに行ったりしていた。

最初は「売り込み」という作業が怖かったと。20歳を少し過ぎたぐらいの女の子が他人に
「売り込み」をすることがどれぐらい勇気がいることかは容易に想像できる。
だけどそれを乗り越えた彼女。
”Mi vida no funciona”とつぶやいた彼女の人生は大きく変わり
”パナマへ出張 ”という階段を上り始め新しい目標の扉へ向かい歩き始めた。

人生は良い時だけではない。悪い時もあるのがあたり前だが
それでも日本人は選択肢があることが多いが世界には未だ選択肢がない人の方が
多い。お隣のハイチの国では食べ物がなくて路上で泥と小麦粉をまぜた”泥のマンジュウ”を
売っているのを見た。

このドミニカ人の女の子が自らの力でパナマへの出張を実現させた時に彼女は
一つ新しい選択肢を持つ、そしてもう”mi vida no funciona "と
口にすることはないはず。



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(株)リクルート / AB-ROADで
ドミニカ共和国、カリブ海のABガイドとして記事を書かせて
もらっています。
ブログでは書かれない観光情報等、内容が満載なのでぜひ


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