私は中学受験経験者だ。

今はそういった人も増えたのかもしれないが、当時は特異な存在だった。

本人がそう思っているのだから、周りの、中学受験をしない、「一般の子たち」からしてみたら、かなり浮いた存在として目に写ったにちがいない。

実際、小学校時代の友人たちとは、中学進学とともに、縁が切れた。

では、中学受験したことを後悔しているかというと、否だ。

中学受験の経験は私の人生に大きく影響を及ぼした。

もはや私という人格の一部だ。

私は中学受験の準備のため、進学塾に入学した。

公立の小学校の授業に退屈していた私にとって、進学塾でのお勉強は大変刺激的だった。

高度な内容、レベルの高い級友たち、面白おかしくそして分かりやすく説明してくれる講師たち(彼らは一様に大学生のアルバイトだった)。

そして何よりも私の闘志に火をつけたのは、毎回、授業前に行われる、テストだった。

試験範囲は前回の授業内容から。

点数上位3名と下位3名の、名前と点数が黒板に書かれる。

こう書くと、「人権に反する」「可哀想」という声があがりそうだが、当の私は、燃えに燃えた。

上位3名に入れば嬉しかったし、下位3名に入ると悔しかった。

それまで部活やスポーツに燃えたことのなかった私にとって、生まれて初めて、人と競い合うことの楽しさを知った。

そして何より、勉強することの楽しさを知ったのだった。
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