昨日、東電の賠償枠組みが発表された。

先立って11日に、米国戦略国際問題研究所のジョン・ハレム所長が日経新聞に警鐘を寄稿している。東電の「上限無し」賠償は、日本の原子力産業を損なうというものだ。

市民や政治が抱く憤りは分かるが、上限のない賠償では、日本のみならず世界の投資家は原子力産業に対するリスクには耐えられない。東電のみならず日本の原子力産業の信用は消し飛んで世界の原子力市場にも影響を与える。

米国が導入した「原子力損害賠償制度「プライス・アンダーソン法」のような制度の導入の検討を含め原子力産業に安全と信頼を求めることとバランスする投資家への配慮を考えるべきで、拙速な判断は問題がある、という意見だ。

 

勿論、原子力産業ありきの論である。

私は、そのことも含めた冷静な判断をすべきであり、当面の賠償のスタートは即刻暫定実施をすべきであると考える。

どうもそこのところを混同して、直にやるべきことと、じっくり将来を構えるべきところを混同しているように思えて、現政権の判断に不安を感じている。

いずれにしても、賠償制度などに基づかない上限のない賠償を前提にした東電の賠償などというのは言語道断と思える。時間がかかる論を目先で逃げているポピュリズムに走っている。

いずれ、有限賠償という話になり、あの時はその場逃れの判断だったことが露呈するであろう。