多くの獣医さんが全国から宮崎県へ派遣され、獣医師にしか出来ない家畜の
殺処分作業に携わった。
その一人の方の生々しい作業の実態を知ることが出来た。
 
1日の作業は、5時半の朝食から始まる。
7時10分、宿泊所発。70分かかって川南町役場着。
自分用の椅子に服、靴を置き、下着の上に防疫衣を着用。
その日の作業のミーティング。
現場へ移動する。到着するともう1枚の防疫衣を重ねて着る。
名前、所属を書いており、獣医師の場合は赤の「」と書き識別する。
専用の長靴、手袋、マスク着用。
夕方まで作業する。
作業が終ると、防疫衣のまま消毒を受ける。
シャワーを浴びて、全て新しい下着が支給され着用、そのうえに新しい
防疫服を着て、バスで役場へ帰る。
役場で再度シャワーを浴び着てきた服に着替える。
役場で、同じような弁当を食べる。(同じメニューで食欲は湧かない)
毎日8時頃になる。
毎日これの繰り返し。
 
多くの獣医師、補助作業員の方々がこうして現場で動いてくれた。
頭が下がる。

殺処分の現場の話、どのように家畜を殺すかの生々しい話もあるが
余りに酷い状況なので省略する。
ただ、現場で口蹄疫を発症中の家畜を目撃したことを、
「背に警策の一撃を感じた」
と、獣医師の責任という立場も感じられて崇高であるとさえ思う。
 
さらに、これからの対策に通じる生々しい具体的な話である。
 
①豚舎に接して設置された飼料タンクに飼料運搬車が入り補給するが
 運転手は処分関係者と同様の消毒がなされているとは思えない。
 (感染媒介の可能性がある。豚の感染力はしかも強い)
②初発はともかく、2例目以降は人が運んだという実感である。
③4月5日に疑いを発見、4月20日まで陽性判定が出来なかった。
 初動の処置に問題がある。
④防疫に強いとされた「ウインドレス豚舎」がやられている。検証が必要。
 少なくとも飼料タンクは 豚舎のフェンスの外側に置くべきだ。
⑤発症農家のすぐ脇の道を一般車両が走っている。交通遮断のあり方。
 交通遮断の張り紙が畜舎の周りに飛んできているのを見て、時間が
 経過して、交通遮断がゆるくなったことを感じる。
⑥一般車両の消毒開始は、5月10日からでは遅きに失してる。
 
今日、東国原知事が非常事態宣言の一部を解除したようだ。
しかし、感染ルートの解明もさることながら、発症後の初動対応の反省と対策は
これからだ。
教訓が活かされないと、口蹄疫感染県、口蹄疫感染国の汚名が拭えない。
更に、国も県も頑張ってもらいたいものだ。