宮崎県新富町は全町域が殺処分対象になった。
5月23日に町が町内の全畜産農家に配布した文書に、獣医師・青木淳一氏の悲痛な手紙があるので一部を紹介したい。

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 長い戦いを続けた挙句の、国のワクチン接種、全頭処分という決定に挫折感と悲しみの中におられるのではないかと心配しています。
 そんな中でも毎日えさを与えているだろうと思うと胸が痛み、頭が下がる思いです。
今回のこの事態に獣医として申し開きや、お願いの出来る立場ではないことは分かっているのですが、もっとひどい事態にさせないために、これからお話しすることを受け止めていただきたいのです。

 ワクチン接種後、殺処分、埋却し、その後、浄化するまでの時間を短くするには、「消毒を徹底するしかない」ということです。
 「ワクチンを打ってからもう病気にならない。それに結局、全頭殺処分されるのであれば、もう消毒なんかしない」という話が漏れ聞いています。
 でもそうではないのです。

中略 (なぜ消毒が必要か分かりやすく諄々と説いておられる)

 ワクチンを接種した牛・豚が感染源となって、ワクチン接種の輪の外側に感染を広げてしまえば、さらに多くの畜産農家を悲しませることになります。
 それに、どんどん感染が広がって日本が口蹄疫の感染国になってしまえば、今まで殺処分された何万頭もの牛・豚の命も、後に殺処分されるワクチン接種された牛・豚の命も”無駄死に”になってしまいます。

 今まで、感染の恐怖の中で消毒を続けてきたことを思えば、今まで以上のつらい思いをかかえた上に、消毒作業を続けて下さい、と簡単にいえない事は分かっていますが、更に悲しむ農家を増やさないために、そしていくらかでも早く牛や豚を養えるようになるためにも、今一度、お願いしたいのです。

           消毒を続けてください。

 そして、最後まで、牛や豚に変わらぬ愛情をそそいでください。
 我々獣医も最後まで一緒に戦い抜きます。

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