今回の6月末の京都旅行のお供の本がこの一冊でした。昨年の3月に購入していますが、長い雌伏の時期を経て最近ポスト岸田について菅さんの発言が目立つようになってきているので、読むのにちょうどいい時期だったかもしれません。


有能な官房長官から首相となり、実績を上げるために官僚や政治家とケンカしたり巧妙に根回ししたりその実行力が遺憾なく発揮される…かと思っていたのですが、コロナ禍や東京五輪開催問題が重なってワクチン政策を強力に推し進めるも社会的な不満が鬱積し、子飼いの議員の不祥事辞任が相次ぎ、わざとらしいパフォーマンスが苦手な性分が裏目に出て支持率はどんどん下がってしまいます。終いには支持基盤だった安倍、麻生元首相や若手議員にも見切られ、もともと無派閥だったことからあっけなく「孤独に」退陣に追い込まれてしまいます。名選手必ずしも名監督に非ず、とは言いますが名官房長官も必ずしも名首相とは行かないのでしょうか。


その菅さんが明らかに小バカにして相手にもしていなかったのが岸田氏でした。その彼が3年間近く持ちこたえながらも、同じような結末を迎えようとしている時に、菅さんは次の日本にどういうビジョンを描いているのでしょうか。まだ世間受けのいいだけの若手議員を神輿に担ごうとしているのでしょうか。気になるところです。


無派閥もあってか最後まで菅さんを支えるという子分が少なかった点と、脇の甘さや評判の悪さをもっと事前にリサーチ(いわゆる身体検査)して不祥事を回避できなかったのかな、という疑問が残りましたが、様々な分野の人と分け隔てなく交流できる強みなどを生かしてこれからも活躍してほしいと思う政治家の一人です。