以前、私は大原と大原野の違いがあまり分かっていませんでした。このへんも用事が無いと来ませんしね。

大原野は京都盆地の西端の山すそです。鉄道からは離れていてこの日も阪急京都線の東向日駅からバスで20分ほどかけて来ました。
つい最近、このあたりの洛西ニュータウンに地下鉄東西線が延伸してくる予定が経営悪化で(太秦天神川駅までで)ストップになっていて、大学も移転してしまい人口減少と高齢化が進んでいるというネット記事を見たばかりでした。京都の中心地の賑わいを考えると同じ市内とは思えない嘘のような話ですが…。
 
目下、洛西三十三観音のお参りを進めていてこのあたりにも札所がいくつかあるので、初めてこの大原野にやってきて寄らせて頂きました。
 

大原野神社

▶御祭神:(春日神と総称)武御賀豆智命、伊波比主命、天之子八根命、比咩大神

▶京都市西京区大原野南春日町1152

▶神仏霊場巡拝の道第86番

 

784年に桓武天皇が長岡京へ遷都した際、皇后の藤原乙牟漏(おとむろ)が藤原氏の氏神である春日大社から勧請を受けて祀ったのが始まりとされ、後に文徳天皇が現社地に社殿を造営して近くの勝持寺が当社の別当寺とされました。

以来「京春日」と呼ばれ朝廷や藤原氏から篤い崇敬を受け、特に藤原氏に女児が誕生すると入内できるように参詣するのが習わしとされました。

 

 

南春日町というバス停から歩いて10分くらいの場所に大きな一ノ鳥居があります。手前に小さな川が流れ、その向かいに正法寺が建っています。ひと山越えた西に勝持寺があります。

 

 
ずーっと奥まで参道が続いています。かなり広い境内です。
 
 
参道の右手に現れた鯉沢池。奈良の猿沢池を模して作られたそうです。池の奥には若宮社が建っています。
 
 
池の底には一面に石が敷かれているそうです。
 
 
参道横にあった瀬和井(せがい)。清和天皇の産湯に使われた清水とされ、古来歌枕にあがり数々の和歌に詠まれています。
 大原や せがいの水を手にむすび
 鳥は鳴くとも 遊びてゆかん   大伴家持
 
 
池にかかる太鼓橋の近くまで来てみました。中の島には地主社が祀られています。
 
 
ようやく拝殿が見えてきました。
 
 
手水舎。
 
 
鹿がくわえた巻物から水が流れています。
 
 
ちょっと見えませんが、この奥に檜皮葺きの春日造の本殿が御祭神ごとに四殿並んでいます。
 
 
狛犬ならぬ神鹿。
 
 
 
正面からお参りします。
 
 
直書きの御朱印を頂きました。
 
 
久々にオリジナルの御朱印帳を買ってしまいました。白地に紺の落ち着いた配色も素敵ですが、「御朱印帖」のシンプルな字体のタイトルにも惹かれました。墨書きでなくともこんな感じにシンプルに表示してもまとまるんですね。
 
 
裏側。
 
最後になりましたが紫式部も藤原氏なので当社を氏神として尊崇していて、源氏物語の29帖「御幸」には大原野に向かう冷泉帝の華やかな行列の描写があるそうです(私は読んだこと無いので…)。