関ヶ原の戦いについては、もう今さら根幹を覆すような新たな史料が発見される可能性は著しく低いように思われます。
著者は新説を唱えるのではなく例えば直江状、小山評定、毛利輝元の立場、小早川への問い鉄砲など半ば通説化して語られているイベントについて、改めてその信憑性を一次史料を基に客観的に再検討しています。
ともすれば講談として面白みを削ることになるのかもしれませんが、「面白いほうが真実であって欲しい」とするバイアスと、合戦後の徳川幕藩体制にとって都合いいように「修正された」部分を見極めないと、史実を見誤ることになってしまいます。
関連する事柄として本書では合戦前の豊臣政権の五奉行五大老(こういう呼び名も当時は無く、後から付けられたもののようですが)の関係性について触れられています。
奉行と大老に格下格上の上下関係は無く職掌が分かれていた、というのは意外な指摘でした。