忘れたい記憶を抱える女と
忘れたくない記憶を失っていく男が出会い
互いに支えあいながら
希望を見いだしていく姿を
優しいまなざしでつづったヒューマンドラマ

『あの歌を憶えている』

ニューヨーク・ブルックリンで
ソーシャルワーカーとして働き
13歳の娘とともに静かで規則正しい生活を送る
シルヴィアは
ある日参加した同窓会の帰り道に
会場にいた男が自宅までつけて来たため
男の持っていた緊急連絡先に電話をします
迎えに来た家族によると
男はソールという名前で
若年性認知症による
記憶障害を抱えていることを知り
やがて彼の家族に頼まれ
彼の面倒を見るようになります

ソールはその残酷な運命のなかでも
わずかに残る遠い記憶を慈しみ
亡き妻との思い出の曲を繰り返し
大切に聴き続けていました

そんな穏やかで優しい彼の人柄と
抗えない運命を与えられた哀しみに触れながら
シルヴィアは次第にソールに惹かれていくのですが
彼女もある過去の出来事によって
心に傷を抱えていました

自分の殻に閉じこもって生きてきた2人が
互いに寄り添いながら
自身の過去や人生と向きあっていく作品で

ジェシカ・チャステインがシルヴィア役
ピーター・サースガードがソール役を演じ
2023年・第80回ベネチア国際映画祭にて
サースガードがボルピ杯(最優秀男優賞)を受賞

「或る終焉」「ニューオーダー」などで知られる
メキシコの俊英ミシェル・フランコが
監督・脚本を手がけています

シルヴィアの過去は
映像では描かれていません
しかしセリフと演技が素晴らしくて
その映像が脳裏に浮かびましたおねがい

良い映画に出会えるのは嬉しいですね照れ