学生演劇の経験もない
全くの《ど素人》だった私に
発声、滑舌、呼吸法などの基礎の基礎や
台本の読み方などを教え育ててくれたのが
恩師・平山一夫先生
東宝の神様と言われた
菊田一夫先生のお弟子さんで
帝劇をはじめとする大劇場で
名だたる名優たちを
演出されてきた方ですが
私が先生と知り合った頃には
そういう一線からは既に離れていらしたので
当時は養成所の講師の一人
ただの私塾の先生なのだと思っていました
でも養成所のレッスンも
お話が興味深いし
一人一人の個性を見極め
その人に合った教え方をしてくださるので
養成所を卒業してから直ぐに
先生の私塾に通いはじめ
毎回十人ほどで
1回3時間
週2回のレッスンを受講してきました
塾には
事務所に所属されている
タレントさんや
新人の俳優さんなども通われていて
その多くは当然ながらハングリーです
「早く上手くなりたい」
「早く売れたい」
しかしながら
一朝一夕にはいかないのがこの世界で
レッスンの2/3が基礎訓練
残りの1/3がテキストを使ったセリフの練習
という内容に
ほとんどの方々はしびれをきらし
長くは続かず
辞めていってしまいました
私の場合
全くハングリーではなく
別に売れたいとも思わない😅
ただ自分と向き合い
自分の人生観なとを見つめ直すのに
たまたま俳優業が適していただけで
だから
同じことの繰り返しの基礎訓練も
不器用で下手なので全然出来ないから
飽きもしないし
演劇経験もないため
全ての話が面白くて興味深く
楽しかったので
結果的に
辞めずに長く続いてしまいました
例えるなら
『ウサギとカメ』の
「周りと比べない」
「努力の重要性」
を学んだわけです
この業界は
何かと器用な人が重宝がられるけれど
平山先生そして菊田一夫先生も
排除されがちな不器用な人を
とても大切にしてくださいました
やっても直ぐには出来ない
何度教えても直ぐに忘れる
そんな私を
根気強く育ててくれていたので
一部で
『門外不出』『秘蔵っ子』とまで
呼ばれていたほどでした😓
教わっていた時には
何が出来るようになったのかすら
判っていないまま
塾の卒業を言い渡され
仕方なく
外部の様々な舞台に出演してきましたけれど
実のところ未だに
先生の教えの何が出来るようになったのか
良く理解していません😣って、おいっ
だからいつも不安で
自信がないんだろうなぁ😞
それで困った時の神頼みで
劇場入りが近くなると
台本を持って先生のお墓参りに行きます
「先生、見て見て。今度はこれに出演するよ」
そんな報告と
まわりに迷惑をかけないよう
千秋楽まで完走出来ますようにと
お願いするわけです
すると時々
「野水は馬鹿ですねぇ」と
笑いながら言う先生の顔と
「いつも後ろに立っています
その後ろには菊田先生
あなた一人じゃありませんよ」
と優しく語りかけてくれる
先生の声が聞こえてきます
今回も聞こえました😊
明後日からは劇場入りです
きっと先生や演劇の神様が
みんなを護ってくれることでしょう

ラストスパートの稽古で
すごく良くなった方々が何人もいて
ちょっと感動

まだまだやれる❗
私も頑張ります❗